08:30 〜 08:50
[US9-01] 円滑な身元確認作業に向けた災害訓練の検討
キーワード:東日本大震災、歯科医師、身元確認
2011年3月発災の東日本大震災では、約16,000名が死亡し延べ3,200名の歯科医師が検死活動に従事するという歯科界最大規模の身元確認活動となった。岩手・宮城・福島の3県で計129の遺体安置所が設置され、遺体・遺族・支援者の動線確保も困難な中での運営が余儀なくされた。歯科医師の社会的活動が注視され、関連職種との連携の重要性が明らかになる一方、様々な課題も散見された。震災後、特に遺体取り違いの防止に向けた取り組みを紹介する。
1. 歯科医師の身元確認スキルの向上 浮き彫りとなった課題の一つが歯科医師の法医学素養である。歯科検診とは異なる遺体の歯科所見採取や異同識別のスキル向上に加え、特にヒトの死に直面する機会のない歯科医師にとって、死体現象をはじめ遺体対応業務による心身的負担の模擬体験は、PTSD対策としても有用である。マネキンや模型以外に実際の映像やご遺体を用いて災害現場の実践を学ぶ機会も増えている。
2. 多職種連携の重要性 我が国の遺体安置所では通常、検視(警察)→検案(医師)→歯科所見採取(歯科医師)という流れ作業方式で業務が行われるが、連携不足や情報漏れの危険性も指摘される。国際刑事警察機構(ICPO; International Criminal Police Organization)が推奨する災害犠牲者身元確認(DVI; Disaster Victim Identification )は医師、歯科医師、警察(技官)、カメラマンの4職種のチーム活動として実施されており、外国人犠牲者を含む大規模災害を想定したDVI訓練も実施されている。
今後想定される南海トラフ巨大地震では最大32万人の死者が推定される。本シンポジウムでは参加者からの意見等も紹介しつつ、歯科界として何ができるのか、何をすべきなのか、社会からの需要に応えるための備えについて考える機会としたい。
1. 歯科医師の身元確認スキルの向上 浮き彫りとなった課題の一つが歯科医師の法医学素養である。歯科検診とは異なる遺体の歯科所見採取や異同識別のスキル向上に加え、特にヒトの死に直面する機会のない歯科医師にとって、死体現象をはじめ遺体対応業務による心身的負担の模擬体験は、PTSD対策としても有用である。マネキンや模型以外に実際の映像やご遺体を用いて災害現場の実践を学ぶ機会も増えている。
2. 多職種連携の重要性 我が国の遺体安置所では通常、検視(警察)→検案(医師)→歯科所見採取(歯科医師)という流れ作業方式で業務が行われるが、連携不足や情報漏れの危険性も指摘される。国際刑事警察機構(ICPO; International Criminal Police Organization)が推奨する災害犠牲者身元確認(DVI; Disaster Victim Identification )は医師、歯科医師、警察(技官)、カメラマンの4職種のチーム活動として実施されており、外国人犠牲者を含む大規模災害を想定したDVI訓練も実施されている。
今後想定される南海トラフ巨大地震では最大32万人の死者が推定される。本シンポジウムでは参加者からの意見等も紹介しつつ、歯科界として何ができるのか、何をすべきなのか、社会からの需要に応えるための備えについて考える機会としたい。