大会実行委員長挨拶
第34回全国大会開催にあたって
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大は南アジアの社会・経済に潜んでいた問題を顕在化させました。インド政府が昨年の3月に全国でロックダウンを実施し、公共交通機関が停止された後、多くの出稼ぎ労働者とその家族が路頭に迷うことになったのはその一例と言えましょう。感染の拡大が所得階層によって異なった影響を与えており、社会保障の脆弱性と所得格差が生活水準のみならず生命の維持さえにも影響を与えることを明らかにしました。今回の一連の現象は私たち研究者にさらに取り組んでいかなければならない問題を突きつけていると思われます。一方で、南アジア世界は日本社会にも影響を与えています。バングラデシュで貧困層への融資をビジネスとして成功させたグラミン銀行は2018年にグラミン日本として日本にも導入され、貧困対策に貢献することが期待されています。私達が南アジアから学ばなければならない点は数多くあるでしょう。
第34回全国大会は2021年10月9日(土)・10日(日)に専修大学生田キャンパスにおいて専修大学をホストとしてオンラインで開催されることになりました。これまでの全国大会では開催校が中心となって実行委員会が設置され、大会の企画、発表の募集・審査、開催の準備を一手に引き受けてきました。学会会員が大学や研究機関に分散している現状を踏まえ、第34回からは審査・プログラム委員会が発表の募集・審査を担い、実行委員会は開催の準備を行うというように役割を分担しております。また、事務作業の迅速化を図るために、IT化も導入いたしました。審査・プログラム委員会も実行委員会も初めての作業が多いために行き届かない点もあるかと存じます。改善すべき点をご指摘頂ければ、幸甚に存じます。今後の全国大会運営に生かしてまいります。
現時点ではオンライン開催も視野に入れております。これから大会での発表を募集いたします。学会の皆様には大会での発表を、また当日には闊達な議論をお願いできればと思います。