一般社団法人日本学校保健学会第67回学術大会

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健康管理,疾病予防1(OP-0301~0305)

下村淳子(愛知学院大学)

[OP-0303] 小学校における保健調査を活用した予防接種勧奨

康井洋介, 徳村光昭, 井ノ口美香子, 内田敬子, 伴英子, 長島由佳, 河津桃子, 佐藤幸美子, 木村奈々, 山岸あや (慶應義塾大学 保健管理センター)

【緒言】感染症の予防には予防接種の実施が不可欠であり,学校は保健調査および健康診断を活用して児童生徒に適切な予防接種を受けるよう指示することが学校保健安全法に規定されている.
【目的】小学校入学時の保健調査に基づいた予防接種勧奨の効果の検討.
【対象と方法】2020年に東京都および神奈川県の私立小学校に入学した児童252人のうち本研究に同意した250人を対象とした.対象者のうち入学時の保健調査において麻しん風しん混合(MR)ワクチン,水痘ワクチン,4種混合ワクチンを規定回数接種していない者およびおたふく風邪ワクチン未接種者に対し2020年6月から7月にかけて文書を用いて個別にワクチン接種を勧奨した.2020年度終了後にワクチン接種勧奨の効果を後ろ向きに解析した.
【成績】ワクチン接種回数が不足している児童54人にワクチン接種を勧奨し18人(33%)が追加接種した.ワクチンの累積接種率は接種勧奨によりMRワクチン2回接種で95.2%より97.6%に,水痘ワクチン2回接種で89.6%より91.6%に,おたふく風邪ワクチン1回接種で94.8%より96.8%に,四種混合ワクチン4回接種で98.8%より99.2%に増加した.
【考察】小学校入学時の保健調査に基づいた予防接種勧奨は予防接種率の向上に寄与した.水痘ワクチン2回接種率は他のワクチンより低く,定期接種化に関する保護者の認知が不十分であることおよび水痘既往者が一定数存在することが要因として示唆された.本研究は慶應義塾研究倫理委員会の承認を得て実施した(受理番号21-001).