一般社団法人日本学校保健学会第67回学術大会

講演情報

一般演題

オンデマンドプログラム » 一般演題

健康管理,疾病予防1(OP-0301~0305)

下村淳子(愛知学院大学)

[OP-0305] 児童生徒に対する客観的健康評価 第2報 -疲労,睡眠の経年変化について-

大川尚子1, 福田早苗2, 藤岡弘季2, 水野敬3,4, 倉恒弘彦4,5 (1.京都女子大学, 2.関西福祉科学大学, 3.理化学研究所, 4.大阪市立大学, 5.大阪大学)

【目的】児童生徒における疲労と睡眠の状態を調査し,健康教育に活用できる疲労と睡眠の客観的な特徴を明らかにする.
【対象と方法】A県B市の中学生男子40名,女子52名,合計92名を対象とした.自覚症状は文部科学省研究班の疲労度自覚的調査票,生活習慣調査,抑うつ評価(DSRS-C),睡眠障害得点(PSQI)を用いた.客観的な疲労評価法として,ライフ顕微鏡を用いた睡眠・覚醒リズム解析,脈波の周波数解析による自律神経機能評価を実施した.
【結果及び考察】同一被験者に対して2年間連続して実施し,1年前と現在の症状がどの程度関連しているかについて分析した.自覚症状調査では身体疲労,精神疲労,総合疲労,チャルダー得点,抑うつ得点に有意な正の相関がみられ,1年前に疲労感や抑うつを感じていた人は,1年後も同様に疲労感・抑うつ状態に陥っていることが確認された.
客観的な疲労関連指標については,交感神経活動,自律神経活動全体,覚醒時活動量,睡眠時活動量,睡眠効率,睡眠時間,中途覚醒回数において有意な正の相関がみられた.1年前に自律神経の働きや日中活動量が低下していた生徒は,1年後も引き続き低下しており,睡眠時体動や中途覚醒回数が多い生徒は,現在も多いことを示唆している.疲労や抑うつなどは時間が経つと改善するということはなく,改善していくためには介入が必要であり,自律神経機能や活動量なども同様に,体動を調整し中途覚醒などを少なくする介入をしていき改善を試みる必要があることが確認された.