一般社団法人日本学校保健学会第67回学術大会

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健康管理,疾病予防3(OP-0311~0315)

棟方百熊(岡山大学)

[OP-0312] 学校給食における残食の実態,「残している」のか「減らしている」のか?

近藤志保1, 藤木理代2 (1.名古屋女子大学 健康科学部 健康栄養学科, 2.名古屋学芸大学 管理栄養学部 管理栄養学科)

【目的】残食は学校給食において大きな問題である.残食は,給食の食べ残しや減らす(配膳後,食べる前に食缶に戻す)行為による増量と,おかわり(配膳後,食缶より盛る)行為による減量の加減により生じる.本研究では,給食を「減らす」児童と「残す」児童の数やその理由を調査し,「食への興味・関心を深め,児童が自身の成長と食の関係性を知り,自ら給食を残さず食べようとする意識を高める」ための取り組みを実施し,食育の機会の増加が児童の喫食量増加に繋がるかを検討した.【方法】 愛知県内1小学校の4年生119人を対象とし,2017年 6月から11月に,給食時栄養指導(2回),掲示板を活用した食育(毎月更新)および農業体験(1回)を実施した.食育介入前後に児童の残食状況および残食理由を調査した.【結果】介入前,給食を残さない児童81人のうち減らしていた児童は37人であった.介入後,給食を残さない児童81人のうち減らしていた児童は40人であった.給食を残す理由で最も多かった「嫌いなものがある」は介入前13人から介入後6人に減った.【結論】「減らさず,残さず」食べている児童は約40%であるという実態が明らかとなった.本食育介入により,「減らさず,残さず」食べる児童を増やすことはできなかったが,「嫌いだから残す」児童を減らすことはできた.食育の機会を増やすことの重要性が示された.