一般社団法人日本学校保健学会第67回学術大会

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安全,危機管理2(OP-1406~1409)

内山有子(東洋大学)

[OP-1407] 教員養成段階での保健・安全に関する学習の必要感と関連する要因―学校長と養護教諭への全国調査の結果から―

上地勝1, 物部博文2, 杉崎弘周3, 藤原昌太4, 山田浩平5, 沢田真喜子6, 森良一7, 横嶋剛8, 植田誠治9 (1.茨城大学 教育学部, 2.横浜国立大学, 3.新潟医療福祉大学, 4.鎌倉女子大学, 5.愛知教育大学, 6.日本女子体育大学, 7.東海大学, 8.国立教育政策研究所, 9.聖心女子大学)

【目的】学校長と養護教諭が,教員養成段階で学ぶ必要があると考える保健・安全に関する内容について調査し,その関連要因について検討した.【方法】全国2,992校に調査依頼を行い,学校長1,059名(回収率35.4%),養護教諭1,196名(回収率40.0%)から回答を得た.【結果】教員養成段階での学習の必要性が「ある」と回答した割合が,学校長と養護教諭の両者とも高かった項目は「熱中症への対応」,「心肺蘇生法」,「アレルギー疾患への対応」,「心のケア」,「発達障害への対応」の5項目であった.養護教諭はこれらに加え,「エピペンの使用法」を挙げていた.また,学校長は「心のケア」,「発達障害への対応」など日頃からの対応に関する項目を,養護教諭は緊急性の高い場面に関する項目を重視する傾向にあった.教員養成段階での保健・安全に関する学習の必要感と,年齢,学校種,職種,教諭が児童生徒に対応する場面で課題を感じた経験(以下,課題の経験)との関連性について分析したところ,課題の経験が「ある」と回答した者ほど,学習の必要性が「ある」と回答する割合が有意に高かった.「心肺蘇生法」,「エピペンの使い方」,「感染症への対応」,「教員間の連携」の項目で,養護教諭のほうが学校長よりも養成段階での学習の必要性が「ある」と回答する割合が有意に高かった.年齢,学校種によっても若干の違いが見られた.【結論】教員養成段階での保健・安全に関する学習の必要感には,課題の経験の有無が関係することが明らかとなった.