一般社団法人日本学校保健学会第68回学術大会

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教育講演2
学校における環境衛生活動の進め方 学校薬剤師による定期検査・臨時検査結果をふまえて児童生徒と考えよう

座長:太田 茂(和歌山県立医科大学)

[EL2] 学校における環境衛生活動の進め方 学校薬剤師による定期検査・臨時検査結果をふまえて児童生徒と考えよう

太田 栄美 (和歌山県薬剤師会学校薬剤師部会)

キーワード:学校環境衛生基準、定期検査、学校保健計画

はじめに
 学校は環境の影響を受けやすい発達段階の児童生徒が1日の多くの時間を集団で過ごす場であり、学校の衛生環境が児童生徒の健康等に大きな影響を及ぼすことがあると考えられる。「学校環境衛生基準」に基づき行われている「定期検査」「臨時検査」「日常点検」について学校薬剤師と連携し、学校における適切な環境の維持及び改善に努めるとともに、児童生徒が身近な学校環境と健康とのかかわりについて関心を持ち、理解してもらえたらと思う。
定期検査
 「学校保健安全法第5条の環境衛生検査は、他の法令に基づくもののほか、毎学年定期に、法第6条に規定する学校環境衛生基準に基づき行わなければならない」とあり、その定期検査の対象を、教室等の環境に係るもの(換気及び保湿等、採光及び照明、騒音)、飲用水等の水質及び施設・設備に係るもの、学校の清潔、ネズミ、衛生害虫等及び教室等の備品の管理に係るもの、水泳プールに係るものの大きく4つに分類している。
教室等の換気及び保湿等の定期検査について、新型コロナウイルス感染症流行以前と2021年度を比較し、学校薬剤師による換気の推奨が教室の環境にどのように影響しているか検証する。
臨時検査
 「学校においては、必要があるときは、臨時に、環境衛生検査を行うものとする」とあり、「感染症または食中毒の発生のおそれ」「風水害等による環境の不潔や汚染による感染症発生のおそれ」「新築・改装等による揮発性有機化合物等の発生のおそれ」等が該当する。
 昨年度、和歌山市において紀ノ川以北への送水橋が崩落し断水が起こった際の学校における飲用水臨時検査実施にあたり、その対応や教育委員会との連携をお伝えする。
日常点検
 「学校においては、環境衛生検査のほか、日常点検を行い、環境衛生の維持または改善を図らなければならない」とあり、コロナ禍において日常点検のどの項目が重要になるかを定期検査結果から考える。
快適な学校環境をつくるための学校環境衛生活動の進め方
 学校においては学校環境衛生基準に照らして、必要なすべての項目について学校保健計画を策定するが、その際、学校薬剤師に企画・立案の協力を依頼し、検査後の事後処置について学校薬剤師の指導助言を仰ぐことが肝要である。
児童生徒が取り組む学校環境衛生活動
 学校の環境について児童生徒が自ら学習することで、人間が環境に与える影響や、環境が個人の健康に大きくかかわることを理解し、ひいては学習能率向上、情操陶冶を図る視点からも重要であることを学んでもらいたい。
まとめ
 学校薬剤師は「健康相談」「保健指導」に従事することとされ、学校薬剤師による「薬の正しい使い方」や「薬物乱用防止」等の授業を依頼される機会が増えてきている。それと同様に学校薬剤師と連携し学校環境衛生について児童生徒に学習させる機会が増やせればと考える。