一般社団法人日本学校保健学会第68回学術大会

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教育講演4
子どもの成長・発達~発育曲線の活用による成長障害の早期発見~

座長:後和 美朝(大阪国際大学)

[EL4] 子どもの成長・発達~発育曲線の活用による成長障害の早期発見~

望月 貴博 (医療法人 希望の森 成長発達クリニック)

キーワード:成長曲線、思春期早発、成長障害

2016年4月から学校保健安全法施行規則の改正により身長曲線・体重曲線などの活用による発育の評価を行うことになった。発育に影響のある児童生徒を自動的に抽出するプログラムの利用などにより、養護教員、校医の負担軽減やスクリーニング漏れを防ぐ対策がなされている。ただ、プログラムで抽出される児のすべてを精査対象にすべきでもなく、重大な疾患の見落としも避けなければならない。抽出されない児に問題があることもある。最後は、実際に個々に成長曲線を見ることにより、普通でない(ピンときた)ものを精査とすることが重要である。「百聞は一見に如かず」です。見逃してはけない成長曲線を中心に、できるだけ多くの症例の成長曲線を供覧し早期発見につながるようにしたい。
また学校現場での自動抽出プログラムの利用方法として、個人的意見として、単独の場合では<2>、<4>、<5>、<8>、<9>、複数の場合は身長関連:<1・2>、<3・4>、<3・4・5>、体重関連:<6・7>、<8・9>、身長・体重:<2・3><4・7>、<4・8><4・9>、(<3・6>)は受診勧奨すべきかを考慮が必要であり、<1>、<3>、<6>、 <7> 、<2・7>は、学校で注意を払いながら経過観察でよいと考える。

発育に影響のある児童生徒を自動的に抽出するプログラム
<1>身長の最新値が97パーセンタイル以上
<2>過去の身長の最小値に比べて最新値が1SD以上大きい
<3>身長の最新値が3パーセンタイル以下
<4>過去の身長の最大値に比べて最新値が1SD以上小さい
<5>身長の最新値が-2.5SD以下(極端な低身長)
<6>肥満度の最新値が+20%以上
<7>過去の肥満度の最小値に比べて最新値が20%以上大きい
<8>肥満度の最新値が-20%以下
<9>過去の肥満度の最大値に比べて最新値が20%以上小さい