The 68th Annual Meeting of the Japanese Association of School Health

Presentation information

一般演題(口演)

オンデマンドプログラム » 一般演題(口演)

O-7~O-10 性、ジェンダー1

座長:下村 淳子(愛知学院大学)

[O-9] 保健体育科教師における性に関する指導に対する困難感―M-GTAを用いた分析―

泉 彩夏1, 小出 真奈美2,3, 宮地 美帆2, 古田 映布2, 戸村 貴史2, 木塚 宙敬2, 佐藤 貴弘4, 片岡 千恵4 (1.鳴門教育大学/筑波大学大学院, 2.筑波大学大学院, 3.流通経済大学, 4.筑波大学)

Keywords:性に関する指導、、

性に関する指導において,「教育する側がネガティブな意識をもって関わることは,性に関する倫理や知識を科学的に享受するにあたり障害となる」(齊藤ら,2015)ことから改善が求められている。本研究では,ネガティブな意識の一つと考えられる困難感に着目し,保健体育科教師における性に関する指導の困難感に関する要因を明らかにすることを目的とした。対象は,中学校および高等学校の保健体育科教師7名(男性5名,女性2名)であった。データ分析は,M-GTAを用いて行った。その結果,8つの〈概念〉と4つの【カテゴリー】が抽出された。本対象者は,【教師としての力量の不足感】として,〈性に関する内容の取扱い方への疑問〉や〈指導経験の不足を背景とした不安〉を抱き,〈指導方法の模索の行き詰まり〉の状態にあった。また,〈他の教員や家庭との連携不足〉といった【教育資源の活用の難しさ】を感じていた。さらに,〈生徒が性に対して興味関心が高まる発達段階にいること〉を十分に把握していることで,とりわけ〈生徒のジェンダーと教師のジェンダーの相違〉によって適切な指導ができていないのではといった【教師や生徒の属性を背景とした難しさ】がみられた。【指導後の気がかり】として〈生徒の反応への対応の不安〉や〈生徒の指導内容の受け取り方の懸念〉を感じていた。今後は,教員養成段階において性に関する内容を一層取り扱い,指導方法の工夫に関する学びや模擬授業の機会などをさらに保証すること等が重要であると思われた。