[O-8] デートDVを題材にした授業に対する批判的認識の調査研究―A大学の教員志望学生の実践を事例に―
Keywords:保健授業、教員養成課程、性教育
【目的】本研究の目的は、教員志望学生のDV及びデートDV(以下DV)を扱った授業に対するネガティブな批判的認識を調査することである。この目的を達成するため、以下のリサーチクエスチョンを設定した。教員志望学生がDVを扱った授業に対して、不快感及びまだ早いといった批判的認識を持つのか。また、批判的認識をもつ要因、持たない要因として、授業の構成要素である、レディネス・教材・授業に分け、3つのうちどの点が大きく影響するのか。【方法】調査対象はA大学保健体育科教員養成課程に在籍している1年生29名であった。授業後にGoogle Formを用いて「授業によって批判的認識を抱いたかどうか」を4件法で尋ねた。上記の質問の回答理由と授業の感想を自由記述式で尋ねた。Microsoft Excelを用いた単純集計を行ったのち、自由記述を、SCAT(大谷,2009)を用いて分析し、ストーリーラインを上記の3点に分類した。【結果】不快に感じた教員志望学生は2名(6.9%)、まだ早いと感じた学生は1名(3.4%)であった。また、批判的認識をもつ要因としては、学生のレディネスが大きいことが明らかとなった。【結論】DVを題材とした授業は、多くの学生にとって批判的認識を抱きにくいものであった。しかし、批判的認識を持つ学生も一部存在する。その要因として学習者のレディネスによるものが大きいことが明らかとなった。このことから、学習者が段階を踏みながら知識や技能を蓄えていくために、幼少期からの体系的な性教育を実施する必要性が示唆された。