The 68th Annual Meeting of the Japanese Association of School Health

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一般演題(口演)

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O-15~O-20 健康教育、ライフスキル1

座長:高倉 実(琉球大学)

[O-18] 学級ベースで行う高学年児童への社会的問題解決訓練の効果と実行機能の影響

畠山 佳子1, 藤野 陽生1,3, 山本 知加2, 谷田 勇樹4,5, 石井 篤子2, 奥野 裕子6 (1.大阪大学大学院 連合小児発達学研究科, 2.大阪大学 連合小児発達学研究科 附属子どものこころの分子統御機構研究センター, 3.大阪大学大学院 人間科学研究科, 4.日本学術振興会, 5.大阪公立大学 現代システム科学研究科, 6.大阪公立大学 看護学研究科)

Keywords:問題解決、小学生、実行機能

【目的】子どもの社会的問題解決スキルを高めるための介入研究が行われているが、介入効果への実行機能の影響は明らかでない。本研究では1)学級で行う介入の効果を確認し、2)介入効果を実行機能が調整するかを検討した。【方法】小学5年生101名を介入群と比較統制群に分け、介入群には45分×6回の問題解決スキルの教示と演習を行った。評価には1)児童用社会的問題解決尺度(宮田ら, 2010)、2)小学校高学年・中学生用情動調整尺度(村山ら, 2017)、3)学校環境適応感尺度(栗原、井上, 2010)を用い、介入後の得点を従属変数として分析した。また児童の実行機能と介入の有無の交互作用を検討した。【結果】介入群全体において解決案の産出数が増加した( p = .002)。一方、情動調整および学校適応感の一部の評価が介入群で低かった。交互作用の分析から、実行機能得点の低い者は介入後に情動調整尺度(問題解決: p= .027、反芻: p = .010)と学校適応感尺度(生活満足感: p = .027)の得点が低下した。社会的問題解決得点には実行機能の調整効果が検出されなかった。【考察】社会的問題解決スキルの介入は問題への対処法の産出を増加させ、問題解決を促進する可能性が示された。情動調整方略や学校適応感への介入効果は個人の実行機能に影響を受ける可能性が示された。【結論】学校環境でより効果的な介入を実践するためには、介入効果が生じる機序や潜在的な交絡因子を特定し、子どもの特性に基づいた支援を追加することが有用であると考える。