一般社団法人日本学校保健学会第68回学術大会

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一般演題(口演)

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O-44~O-49 メンタルヘルス2

座長:鈴江 毅(静岡大学)

[O-45] 日本の児童生徒におけるQuality of Lifeに関する研究-不登校児童生徒を対象とした調査に向けた文献的検討-

小出 真奈美1,2, 泉 彩夏3, 宮地 美帆1, 澤江 幸則4, 片岡 千恵4 (1.筑波大学大学院, 2.流通経済大学, 3.鳴門教育大学, 4.筑波大学)

キーワード:QOL、子供、不登校

Quality of Life(QOL)は生活の質を意味し,生きがいや幸福感などの精神的健康と身体的健康から捉えられる。これまで医療や福祉の分野において高齢者や障害者を対象として多くの研究がなされてきたが,近年では児童生徒を対象とした研究もみられる。今後は,今日の学校保健上の一層大きな問題となっている不登校児童生徒の健康課題の解決に向けて,そのQOLに着目することが重要であると考えた。そこで本研究では,児童生徒のQOLに関する研究を概観し,その実態や関連する要因を検討し,今後の不登校児童生徒を対象としたQOLに関する調査に向けた示唆を得ることを目的とした。対象となる文献は,検索エンジンCiNiiおよびJ-STAGEを用いて2000年から2020年に出版され,国内の児童生徒が対象である文献とした。検索キーワードは「QOL」と「小学生」「中学生」「高校生」とし,学会抄録および重複する論文を除いた文献を分析対象とした。その結果,中学生を対象とした研究が最も多く,次いで小学生,高校生の順であった。いずれも食事との関連について検討している文献が多く,さらに睡眠や身体活動といった生活習慣に関わる研究もみられた。またQOLを高めるためには,規則正しい生活習慣を確立させることだけでなく,健康に関する正しい知識と良好な対人関係を築くことが重要であることが示唆された。今後,不登校児童生徒の支援のあり方を検討していくために,生活習慣を包括的に捉えることやQOLに関わる要因を視野に入れることが重要であると考えられた。