一般社団法人日本学校保健学会第68回学術大会

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一般演題(口演)

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O-62~O-66 食、食育

座長:甲田 勝康(関西医科大学)

[O-64] 「学校給食における食物アレルギー対応指針」が示された前後の食物アレルギー対応に関する比較検討 

秋葉 佳子1, 岸根 美絵2, 竹内 佳代子3, 田中 広美4, 土谷 政代5, 守田 真里子6, 田中 延子7 (1.千葉市立瑞穂小学校, 2.川越町立川越北小学校, 3.松本大学, 4.東京聖栄大学, 5.東筑紫短期大学, 6.尚絅大学, 7.淑徳大学)

キーワード:学校給食、食物アレルギー対応指針、栄養教諭

【目的】2015年、文部科学省から「学校給食における食物アレルギー対応指針」(以下、指針)が示され、学校生活管理指導表(以下、指導表)の提出の必須や原因食物の完全除去対応が明記された。本研究では食物アレルギー対応状況について指針が示される前後で比較検討した。
【方法】2021年7~9月、栄養教諭等にWebアンケートを実施し771人から有効回答を得た。2014年、(公社)全国学校栄養士協議会が実施した食物アレルギーに関する調査結果(以下、2014年)と本調査結果を比較検討した。解析はSPSS Ver.27を用いχ2検定を行った。
【結果】指導表に基づいて食物アレルギー対応を判断している施設は97.1%で、2014年の63.7%より増加した。また、献立作成の際に食物アレルギーについて「考慮している」は68.4%(2014年46.7%)、「どちらかといえば考慮している」の29.4%(2014年43.3%)を合わせると97.8%で、2014年の90.0%より増加した。考慮している群はどちらかといえば考慮している群に比べ、「アレルゲンを含まない食材を選択する」(p<0.001)、「アナフィラキシーなど重い症状が出る食材を使用しない」(p<0.001)、「主食・牛乳を除くメニューに複数のアレルゲン食材を使用しない」(p<0.001)が有意に高かった。
【結論】指針が示された後、指導表に基づく食物アレルギー対応や物資の選定、献立作成の際のアレルゲンへの考慮が増加した。このことから、栄養教諭等の安全な給食を提供するための意識が一層高まっていることが示唆された。