[P-17] 若年者における血圧補正による上腕-足首間脈波伝播速度と心血管系危険因子との関連
Keywords:中学生、上腕足首間脈波伝播速度、心血管系危険因子
【目的】身体発育に伴う循環機能の発達を加味して上腕-足首間脈波伝播速度(baPWV)を評価するために,収縮期血圧(SBP)による補正を行い,心血管系危険因子との関連を検討した.【方法】対象者は,近畿地区の小学校,中学校,高校に在籍した児童・生徒4,522名(15.6±1.6歳)で,身長,体重,体脂肪率(BIA法),上腕血圧,baPWV,空腹時採血による中性脂肪(TG),HDLコレステロール(HDL-C),血糖(FBS)を測定した.【結果】SBPを補正してbaPWVを評価するために,男女別に5mmHgごとの区分におけるbaPWVの中央値と四分位範囲を求めて,zスコア(ロバスト)を算出した.対象者をzスコアで3群(-1.0未満, -1.0~+1.0未満, +1.0以上)に分類した上で,肥満(体脂肪率:男子≧25%, 女子≧30%),TG/HDL-C比高値,FBS高値(性・年齢階層別95パーセンタイル値以上)の出現率を比較したところ,zスコアが高位になるにつれて出現率が高くなる関係が認められた.また,これらの危険因子の個人内での保有数(0~3個)を求めて検討したところ,保有数が多いほどzスコアが連続的に高値となり,2つ以上の群とそれ以外の群との間に有意な差が認められた.【結論】身体発育の途上にある若年者では循環機能の発達に伴う生理的変化として血圧が上昇することからその影響を加味して評価したところ,SBPで標準化したbaPWVのzスコアは肥満や糖および脂質代謝の軽度異常と関連し,これらの危険因子の有無や集積による血管壁の性状の変化を反映するものと考えられた.