一般社団法人日本学校保健学会第68回学術大会

講演情報

シンポジウム

オンデマンドプログラム » シンポジウム

シンポジウム3
教科としての「保健」のさらなる改善に向けて~注目される課題と提案~

座長:野津 有司(筑波大学)、岩田 英樹(金沢大学)

[SY3-1] 幼小連携からみた小学校低学年の保健の位置づけ

内山 有子 (東洋大学)

キーワード:幼稚園教育要領、小学校低学年、生活習慣

小学校の6年間における児童の心身の発育・発達は顕著であり、特に小学生低学年期は基本的生活習慣を確立させる重要な時期である。しかし、低学年では児童が自らの健康課題に気付き、その課題を解決しようとしたりすることは難しく、学校では教師を、家庭では保護者を手本とし行動を模倣する時期でもある。
 幼稚園教育要領の領域「健康」では「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」として「健康な心と体を育て、自ら健康で安全な生活をつくり出す力を養う」ことを掲げ、内容として「自分の健康に関心をもち、病気の予防などに必要な活動を進んで行う」「危険な場所、危険な遊び方、災害時などの行動の仕方が分かり、安全に気を付けて行動する」などを示しているが、小学校入学後の「保健教育」は3学年から始まるため、就学前教育との接続に2年の間が空く。しかし、近年、低学年児童の不登校や生活習慣の乱れなどの健康課題や、誘拐などの安全問題が見られることにより、自分の心や体に興味関心を持ち、健康や安全を意識した生活することを低学年期から考えることは重要であり、1学年、2学年に保健領域の時間を設けることにより小学校6年間の一貫性のある保健教育を行うことが可能となる。
 幼稚園教育要領の「健康」での学びを小中学校の保健教育へ円滑に接続していくため、小学校低学年における保健教育の位置づけや保健教育の意義について検討する必要があると考える。