一般社団法人日本学校保健学会第68回学術大会

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シンポジウム3
教科としての「保健」のさらなる改善に向けて~注目される課題と提案~

座長:野津 有司(筑波大学)、岩田 英樹(金沢大学)

[SY3-5] 性に関する指導の現状と課題

渡部 基 (北海道教育大学)

キーワード:性に関する指導、ガイダンス、カウンセリング

 性に関しては、従来から中央教育審議会の審議においても課題となっており、現行の学習指導要領の改訂時に実施されたパブリックコメントにおいては、体育・保健体育等での性的マイノリティの取り扱いが検討されている。そこでは、個々の児童生徒の発達の段階に応じた指導、教員の適切な指導の確保などを考慮すると、指導内容として扱うことは難しいと回答されている。児童生徒の性的な発育・発達の個人差を踏まえ、発達に対する効果的な支援の必要性を考慮すると、集団指導的なガイダンスと個別指導的なカウンセリングがそれぞれの機能を相互補完的に発揮させていくことが大切である。現行の学習指導要領解説をみると、中学校保健体育第3学年「エイズ及び性感染症の予防」において、性的接触やコンドームという用語が取り扱われているが、これらはHIV感染を防ぐ方法として示されている。仮に、これらの指導内容を青少年の望まない妊娠を防ぐという観点へと拡大することを想定した場合、どの学校種や学年、どの項目の中で取り扱うべきかを検討する必要があり、その際には、学習する全ての児童生徒が習得できるという体育・保健体育の特質等を踏まえることが重要である。今後、教員の新たな研修制度の導入が見込まれる中で、体育・保健体育を担当する教員に対して、性に関する指導を充実させるための研修プログラムや学習コンテンツの整備が求められる。