国際開発学会第35回全国大会・人間の安全保障学会第14回年次大会

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2024年11月9日(土) 09:00 〜 13:00 メディアラウンジ (外濠校舎1階)(JASID) (外濠校舎1階 メディアラウンジ )

09:00 〜 13:00

[1Z105] セックスワーカーの語られ方:バングラデシュのNGO支援を事例に

*岡庭 尚代1 (1. 東京大学大学院)

キーワード:セックスワーカー、NGO、バングラデシュ

セックスワーカーは、「貧困層」とも「女性」とも異なる、いわばインターセクショナルな存在である。彼らが国際開発援助の対象として表舞台に登場するのは、国連がHIV/AIDS対策に乗り出し、人間の安全保障が国際的潮流になりつつあった1990年代後半であった。その頃から、セックスワーカー支援を中心的に担っているのはNGOである。本研究のフィールドであるバングラデシュにおいては、約14万人と言われる女性セックスワーカーのうち、90%以上が人身売買を契機に、強制的に10~20代で性産業に足を踏み入れる。そうした状況の中で、複数のNGOが、セックスワークに頼らない生き方をできるよう、セックスワーカーに対し、主に就労支援や、就労につながる技術・教育支援を行っている。ところが、NGOのそうした支援を受けたにもかかわらず、自発的にセックスワークに留まる選択をする女性が数多く存在する。年齢にもよるが、他の職業でも同等の給与を稼げるにもかかわらず、である。
 こうした背景から、本研究の問いを「NGOが援助する“セックスワーカー”とは誰か」とする。分析対象は、バングラデシュでセックスワーカー支援を行う複数のNGOの年次報告書、国際機関のレポート、および先行研究等とし、言説分析を行う。また、情勢が許せば、現地でNGO関係者、及び元セックスワーカーにインタビューを行い、分析結果を補完する。本研究の現段階での仮説は、NGOは結果的に「かわいそうなセックスワーカー像」を創り出し、その像の再生産・固定化の一翼を担ってしまっている、というものだ。また、インプリケーションとして、セックスワーカー自身もまた、その像を利用することで利を得ているのではないかと考える。セックスワーカー支援を開発学的視点からとらえなおし、各アクター間に働く政治メカニズムの可視化を試みることが、本研究の新奇性であると考える。

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