国際開発学会第35回全国大会・人間の安全保障学会第14回年次大会

講演情報

一般口頭発表

若者のエンパワーメントと社会改革:教育、職業訓練、アイデンティティ形成

2024年11月10日(日) 12:45 〜 14:45 F301 (富士見坂校舎 301)

座長:佐藤 峰(横浜国立大学)

コメンテーター: 佐藤 峰(横浜国立大学), 土田 千愛(東京大学)

12:45 〜 13:15

[2A202] フィリピン職業訓練校における若者の自立支援:パターン・ランゲージを用いたアクションリサーチ

*金井 貴佳子1、井庭 崇2 (1. 慶應義塾大学大学院、2. 慶應義塾大学)

キーワード:フィリピンの若者、パターン・ランゲージ、エンパワメント、職業訓練校

フィリピンでは、約330万人の若者が学校をドロップアウトし(PSA, 2017)、彼らを救済する手段の一つとして、職業訓練校が重要な役割を担っている。その役割として、技術を「指導」することだけでなく、学んだ技術を生きていくことに活かす「支援」も含まれる。そこで、本研究では、人の実践を内側から支援するツールであるパターン・ランゲージを用いて、技術習得と就職活動に励む15〜30歳の若者を対象に、自立的に生きていけるような内発的な支援方法を創出することを目的として、アクションリサーチのアプローチで取り組んだ。
 まず、職業訓練校に通っているミンダナオ島の若者に対して、既存のパターン・ランゲージの中から現地に合うものをリミックスしたパターン・セットを活用してワークショップを行った。問題と解決をセットで知ることができるパターン・ランゲージで支援する意義が明らかになったものの、フィリピンの本当に困難な状況を乗り越えるためには、現地の状況に適したパターン・ランゲージを現地の人たちにインタビューを行い新たに作成する必要があった。次に、困難を乗り越え、現在自立的に生きているミンダナオ島の人々にインタビューを行い、フィリピンの若者を支援するために新規のパターンを作成した。ワークショップにて実践し、そのフィードバックをもとに修正しながら、最終的に27のパターンが示された。
 パターン・ランゲージを用いた支援を行うことで、①これまでの経験をふりかえり自分のできたことを自覚する支援がされたこと、②何が問題なのか自覚的になるきっかけを与えられること、③外的な要因ではなく自分の中にあるものを考える新たな視点を得られることの3つが得られた。本研究は、単一の事例に基づいた導入プロセスを示しているものの、職業訓練校における自立支援を目指す新しいアプローチとして位置付けられるだろう。

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