国際開発学会第35回全国大会・人間の安全保障学会第14回年次大会

講演情報

一般口頭発表

国際開発を支える専門知:その形成、伝播、実践

2024年11月10日(日) 12:45 〜 14:45 F302 (富士見坂校舎 302)

座長: 黒田 一雄(早稲田大学)

コメンテーター: 黒田 一雄(早稲田大学), 萱島 信子(JICA緒方貞子平和開発研究所)

13:45 〜 14:15

[2B207] 大学教員の留学を通じて形成される国際学術協力関係の実証研究-日本とインドネシアを事例として-

*梅宮 直樹1、*萱島 信子2 (1. 上智大学、2. JICA緒方貞子平和開発研究所)

キーワード:国際学術協力、留学、高等教育、インドネシア

グローバル化の進展に伴い、学術の世界でも国境を越えた研究活動や教育活動が急速に拡大している。世界の留学生数はこの20年間で3倍増の600万人に達し(OECD統計)、2021年には世界の科学技術分野の論文の約30%が国際共著となっている(クラリベト社web of Scienceデータ)。国境を越えた学術ネットワークに参加して国際的な教育・研究活動を行うことが、世界に有用な知の生産と次世代の育成には重要であり、日本政府は「国際頭脳循環」促進の名のもと、日本人研究者の国際経験の涵養、優秀な外国人留学生の獲得と日本定着、国内におけるトップレベルの研究拠点の構築などの施策を積極的に進めている。
 また、東南アジア諸国のトップ大学でも海外大学との連携・交流を積極的に進めているが、発表者らが行った東南アジアのトップ大学の教員の留学のインパクトの研究において、日本留学によって博士号を取得した教員の割合が高い大学が多く、そこでは日本の大学の指導教員との師弟関係がその後の長期的な国際学術協力に発展しているケースが多く確認された(Kayashima et al. 2024)。このことは、日本への留学を通じて形成される日本と東南アジア諸国との国際的な学術協力のメカニズムの存在を示唆している。
 そこで、さらに日・インドネシア側の大学教員にインタビューを行い収集したデータを分析することで、インドネシアのトップ大学の教員の日本留学を契機として日本と東南アジア諸国との学術協力がどのように発展しているのか、日本側とインドネシア側双方の促進要因、阻害要因、経年変化、専門分野の違い、日本留学の特徴が、両国間の学術協力のプロセスにどのような影響を与えているのかを明らかにすることを目的とした研究を実施してきている。本発表では、これらデータの初期的な分析結果を報告する。

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