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[2B208] 生き物としての「ジャーナル共同体」: 『国際開発研究』の三十年が語る日本の知識生産の虚実
キーワード:国際開発研究、『国際開発研究』、ジャーナル共同体、日本、知識生産
本報告は、日本における国際開発学(development studies)という学問分野の知識生産の一例として、その重要な媒体となる関連学術誌を取り上げる。具体的には、『国際開発研究』(1991年創刊)の生成と変遷を分析し、日本の国際開発学の実態と課題をより明確にすることを目的とする。
国際開発関連の専門誌がほかにも複数あるなか、国際開発に特化した学術誌の役割は必ずしも自明ではない。それにもかかわらず、なぜ1,600人を超える会員を有する国際開発学会が結成され、さらに複数の国際開発系の学術誌が作られてきたのか。学会誌は、日本の国際開発学にどのような役割を果たしているか。
このような問いをもとに、本報告は「ジャーナル共同体」という分析概念を批判的に採用し、国際開発学会とその学会誌『国際開発研究』を対象に調査を行った。『国際開発研究』の創刊号から2024年8月までの全785本の掲載原稿を対象に量的な集計を行い、さらにインタビューと文献調査を通じて、学会・学会誌の変化の背景や研究成果の関係性を考察した。
その結果、『国際開発研究』は従来の知識生産システムとしての「ジャーナル共同体」ではなく、時代や人的流動とともに変化する「生き物」のような特性を持つことが明らかになった。今日の『国際開発研究』は、学会員の需要に応じて役割も拡大し、研究成果の共有に限らず、学会内容の反映、次世代の育成、そして会員間の情報交換の場として、多面的に機能するようになっている。そこで、学会員の多様性や分野横断的な対話が観察される一方で、投稿者数の低下による質的管理のジレンマや、論点の関係性を整理する工夫の欠如といった課題も浮き彫りになった。本報告の学会誌分析で得られた予備的知見を踏まえつつ、より広範な資料と関係者へのインタビューを通じて、日本の国際開発学を動かす条件と機運をより精緻に描き出すことは、今後の課題である。
国際開発関連の専門誌がほかにも複数あるなか、国際開発に特化した学術誌の役割は必ずしも自明ではない。それにもかかわらず、なぜ1,600人を超える会員を有する国際開発学会が結成され、さらに複数の国際開発系の学術誌が作られてきたのか。学会誌は、日本の国際開発学にどのような役割を果たしているか。
このような問いをもとに、本報告は「ジャーナル共同体」という分析概念を批判的に採用し、国際開発学会とその学会誌『国際開発研究』を対象に調査を行った。『国際開発研究』の創刊号から2024年8月までの全785本の掲載原稿を対象に量的な集計を行い、さらにインタビューと文献調査を通じて、学会・学会誌の変化の背景や研究成果の関係性を考察した。
その結果、『国際開発研究』は従来の知識生産システムとしての「ジャーナル共同体」ではなく、時代や人的流動とともに変化する「生き物」のような特性を持つことが明らかになった。今日の『国際開発研究』は、学会員の需要に応じて役割も拡大し、研究成果の共有に限らず、学会内容の反映、次世代の育成、そして会員間の情報交換の場として、多面的に機能するようになっている。そこで、学会員の多様性や分野横断的な対話が観察される一方で、投稿者数の低下による質的管理のジレンマや、論点の関係性を整理する工夫の欠如といった課題も浮き彫りになった。本報告の学会誌分析で得られた予備的知見を踏まえつつ、より広範な資料と関係者へのインタビューを通じて、日本の国際開発学を動かす条件と機運をより精緻に描き出すことは、今後の課題である。
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