国際開発学会第35回全国大会・人間の安全保障学会第14回年次大会

講演情報

一般口頭発表

学校の内と外:教育の存立基盤を見つめなおす

2024年11月10日(日) 09:30 〜 11:30 F303 (富士見坂校舎 303)

座長: 荻巣 崇世(東京大学)

コメンテーター: 荻巣 崇世(東京大学), 友川 幸(信州大学)

10:00 〜 10:30

[2C202] パラグアイ共和国南東部における学校給食実践のエスノグラフィー

*橋口 奈奈穂1 (1. 横浜国立大学大学院)

キーワード:学校給食、エスノグラフィー、合理的選択理論、愛情

1. 研究背景およびリサーチクエスチョン
 南米中央部に位置するパラグアイ共和国では、2014年に学校給食に関する法律が施行されており、申請者が調査を実施した南東部の地域では2016年から学校給食の提供が始まった。申請者はL校において、予定献立とは異なる学校給食が提供されていることに疑問を持ち、本研究の着想に至った。本研究の目的は、L校の学校給食を提供する人々(調整員・調理員等)は、学校給食に関する政策をどのように捉え、どのような学校給食にかかる実践を行い、どのような選択をしているのかを明らかにすることである。用いる理論は、合理的選択理論(rational choice theory)であり、L校の学校給食実践に関わる人々にとっての利益とコストを明らかにすることである。

2. 資料・情報および分析方法
 資料・情報は、報告者が2022年10月と2023年9月に実施した現地調査のデータを主に使用する。不足する資料・情報は、すでにJICAから許可を得た2017年~2019年にJICA海外協力隊としての活動記録を用いる。また、2023年9月に現地調査を行う際のデータも使用する。分析方法は、エスノグラフィーを用いる。

3. 得られた知見
 ①学校給食実践に関わる人々は、学校給食政策をフォーマルなものだと捉え、子どもたちへの愛情からインフォーマルに地域の嗜好や文化に応じた学校給食を提供していた。また、調理員と委託会社職員による学校給食実践は、学校長を含む教員らから高い評価を受けていた。②学校給食実践に関わる人々のコストは求められる業務以上の配慮や手間であり、その利益は収入と重要な他者による承認であった。

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