国際開発学会第35回全国大会・人間の安全保障学会第14回年次大会

講演情報

一般口頭発表

学校の内と外:教育の存立基盤を見つめなおす

2024年11月10日(日) 09:30 〜 11:30 F303 (富士見坂校舎 303)

座長: 荻巣 崇世(東京大学)

コメンテーター: 荻巣 崇世(東京大学), 友川 幸(信州大学)

10:30 〜 11:00

[2C203] バンコクにおけるノンフォーマル教育

*真渕 未彩1 (1. 東洋大学大学院)

キーワード:ノンフォーマル教育、居場所づくり、タイ、生涯学習、社会参加

1990年の「万人のための世界教育会議」(EFA)で採択された宣言により、ノンフォーマル教育はフォーマル教育の補完的な役割を果たすだけでなく、生涯学習の一環として成人や社会的に弱い立場にある人々の基礎的な学習ニーズを満たすものとして重要視されるようになった。本研究では、タイの初等教育における純就学率の向上に伴い、ノンフォーマル教育の必要性やその役割が変化しているのではないかという仮説のもと、クロントイエリアで半構造化インタビューをもとに調査を実施した。調査の結果、この地域のノンフォーマル教育は、フォーマル教育の補完だけでなく、コミュニティ間の結びつきを強化し、社会参加を促進する重要な役割を果たしていることが明らかになった。具体的には、ノンフォーマル教育施設は子どもたちにとって「居場所」や「第二の家」として機能し、ロールモデルを示すことでアイデンティティの確立や精神的な支えを提供していることが確認された。また、趣味や友人との交流を通じて心の幸福度を高めるとともに、社会参加を可能にする潤滑油としての役割も果たしていることもわかった。このように、クロントイエリアにおけるノンフォーマル教育は、地域の特性やニーズに応じて柔軟に対応し、学習者の生活の質を向上させる役割を果たしている。今後も、このような教育のあり方を継続・発展させることで、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に寄与することが期待される。

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