国際開発学会第35回全国大会・人間の安全保障学会第14回年次大会

講演情報

一般口頭発表

学校の内と外:教育の存立基盤を見つめなおす

2024年11月10日(日) 09:30 〜 11:30 F303 (富士見坂校舎 303)

座長: 荻巣 崇世(東京大学)

コメンテーター: 荻巣 崇世(東京大学), 友川 幸(信州大学)

11:00 〜 11:30

[2C204] ミャンマー連邦共和国における私立学校の役割と展望

*牟田 博光1 (1. 国際開発センター)

キーワード:私立学校、マトリキュレーション試験、合格率

ミャンマーでは30年以上に及ぶ軍事政権から民主化政権に移行した2011年に制定されたPrivate School Registration Lawにより、基礎教育段階での私立学校の設立は2012年度から始まったが、その学校数、児童生徒数は急激に増加した。しかし、児童生徒数の増加は主として高校段階、特に最終学年のGrade11で見られ、その私学比率は2020年には全国平均で17%にまで増加した。その地域別配置はマンダレー管区では37%、ネピドー首都特別区では36%、他方エヤワディ管区、カイン州は3%と特定の地域に集中し、州/管区による違いは大きい。その役割は現実には大学入学資格試験(マトリキュレーション試験)の受験対策に特化しており、その地域でのマトリキュレーション試験合格率の向上に寄与している。マトリキュレーション試験に関する様々な変数をコントロールした分析の結果、関連する様々な変数をコントロールすると、私学比率が1%ポイント増加すると、合格率が0.42%ポイント増加するという結果となった。2021年のクーデターに起因する政治的、経済的混乱により、私立学校児童生徒数は小学校段階で激増、高校段階で激減した。私立学校法は2023年にはPrivate Education Lawに改定され、政府の管理体制が強化され、2024年には大学レベルの私立大学の認可も予定されている。私立大学の入学にもマトリキュレーション試験合格が必要なことから、大学入学の仕組みが変わらない限り、受験に対する私立学校の優位性は代わらないと考えられるが、私立学校に通わせるにはお金がかかるため、今後の経済状況の推移がその展望に大きく影響するものと考えられる。

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