09:00 〜 10:40
[JCAA-3] リンパ浮腫診療におけるEvidenceとは?
キーワード:lymphedema, lymphatic venous anastomosis
【目的】四肢リンパ浮腫における決定的な治療法は現段階でまだ見つかっていない。我々は病態解明・治療法開発を目的として集合リンパ管や患部皮膚の組織解析を行い,「リンパ内圧」異常こそが様々なリンパ浮腫の症状を形成しているという結論に至っている。今回,リンパ内圧減圧を目的としたリンパ管静脈吻合術(LVA)の治療効果を検証する。【方法】当院において当院でLVA を行った95症例(上肢14例,下肢81例)に関してリンパシンチ,インドシアニングリーン(ICG)リンパ管蛍光検査,術後成績(組織硬度)を解析した。【結果】リンパシンチ95症例中81例(162肢)の下肢リンパ浮腫において,でType1(前川分類,2010)が43肢,Type2が70肢,Type3が21肢,Type4が20肢,Type5が8肢であった。ICG検査(山本分類,2012)でStage0が37肢,Stage1が22肢,Stage2が25肢,Stage3が23肢,Stage4が31肢,Stage5が14肢であった。術後評価(Stage2a以上/128肢)にて,Excellentが14肢,goodが64肢,fairが30肢,poorが11肢,評価不可が9肢であった。LVAで改善が見られなかった6症例のうちリンパ組織移動術・リンパ節移植をそれぞれ3症例に行い,4症例で改善した。【考察】これまで,組織内圧(リンパ内圧)を人工的に上昇させる保存的治療がリンパ浮腫の標準的な治療法として普及してきたが,リンパ灌流路を再建し,リンパ内圧を降下させる外科治療もEvidenceを有した治療法となりえる。重要な点は,症例毎のリンパ機能に則った治療法選択を行うことである。