第55回日本脈管学会総会

講演情報

JCAA選考発表

JCAA選考発表

2014年10月30日(木) 09:00 〜 10:40 第4会場 (203会議室)

座長: 大倉宏之(川崎医科大学 循環器内科), 遠藤將光(独立行政法人国立病院機構 金沢医療センター 心臓血管外科), 濱野公一(山口大学大学院 器官病態外科), 陣崎雅弘(慶應義塾大学医学部 放射線科学)

09:00 〜 10:40

[JCAA-3] リンパ浮腫診療におけるEvidenceとは?

三原誠1, 原尚子1,2, 椿浩美3, 河原真理4, 村井則之4 (1.済生会川口総合病院血管外科 リンパ浮腫専門外来, 2.東京大学医学部 形成外科・美容外科, 3.済生会川口総合病院 看護部, 4.済生会川口総合病院血管外科)

キーワード:lymphedema, lymphatic venous anastomosis

【目的】四肢リンパ浮腫における決定的な治療法は現段階でまだ見つかっていない。我々は病態解明・治療法開発を目的として集合リンパ管や患部皮膚の組織解析を行い,「リンパ内圧」異常こそが様々なリンパ浮腫の症状を形成しているという結論に至っている。今回,リンパ内圧減圧を目的としたリンパ管静脈吻合術(LVA)の治療効果を検証する。【方法】当院において当院でLVA を行った95症例(上肢14例,下肢81例)に関してリンパシンチ,インドシアニングリーン(ICG)リンパ管蛍光検査,術後成績(組織硬度)を解析した。【結果】リンパシンチ95症例中81例(162肢)の下肢リンパ浮腫において,でType1(前川分類,2010)が43肢,Type2が70肢,Type3が21肢,Type4が20肢,Type5が8肢であった。ICG検査(山本分類,2012)でStage0が37肢,Stage1が22肢,Stage2が25肢,Stage3が23肢,Stage4が31肢,Stage5が14肢であった。術後評価(Stage2a以上/128肢)にて,Excellentが14肢,goodが64肢,fairが30肢,poorが11肢,評価不可が9肢であった。LVAで改善が見られなかった6症例のうちリンパ組織移動術・リンパ節移植をそれぞれ3症例に行い,4症例で改善した。【考察】これまで,組織内圧(リンパ内圧)を人工的に上昇させる保存的治療がリンパ浮腫の標準的な治療法として普及してきたが,リンパ灌流路を再建し,リンパ内圧を降下させる外科治療もEvidenceを有した治療法となりえる。重要な点は,症例毎のリンパ機能に則った治療法選択を行うことである。