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[O-11-2] 下肢動脈エコーで大腿動脈血流が狭窄後波形を示さない腸骨動脈病変例に関する検討
キーワード:ultrasonography, post stenotic pattern
【目的】下肢動脈エコーで大腿動脈血流が狭窄後波形を示さない腸骨動脈病変例について,ABIと造影CTを含めて検討した。【方法】2011年4月から2012年3月の間にABI,造影CT,下肢動脈エコーを施行し,腸骨動脈に有意病変を認めた81例109肢(平均年齢73.4歳)を対象とした。ABIは0.9以下を異常値とし,造影CTでは狭窄率50%以上を有意狭窄とした。下肢動脈エコーでは収縮期最大血流速度(PSV)が2.0m/s以上,もしくは収縮期最大血流速度比が2.0以上を有意狭窄とした。大腿動脈での狭窄後波形は,収縮期加速時間が120ms以上且つ,拡張期逆流成分減弱か連続的な2相性波形,拡張期成分消失の1相性波形,1相性の連続波形とした。また,片側病変例において病変側と正常側の大腿動脈でのPSVの有意差を検討した。【結果】109肢のうち大腿動脈で狭窄後波形を示さなかったのは23肢(腸骨病変のみ13肢,末梢側病変を伴う10肢)であった。造影CTでの狭窄率は,50%は17肢,75%は5肢,90%以上は1肢であった。ABIは末梢側病変を伴う3肢のみが0.9以下であった。PSVの検討では,狭窄後波形を示さない23肢は左右に有意差を認めず(p=0.24),狭窄後波形を示した86肢は病変側でPSVが有意に低かった(p<0.05)。【考察・結語】ABIと狭窄後波形,PSV低下のみでは病変予測が難しい場合が狭窄率50%で多かった。今回の検討では狭窄率75%,90%以上の全例に跛行があり,大腿動脈波形に視覚的左右差を認めた。この2点に着目すれば50%を超える狭窄は予測し得ることが示唆された。