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[O-15-5] 下肢浮腫にて静脈エコーを施行した症例の検討
キーワード:DVT, EDEMA
【背景】下肢特に下腿浮腫は深部静脈血栓症(DVT)を疑う理学所見の一つであるが,日常臨床でよく見られる症状で有り特異性に乏しい。今回われわれは浮腫を両側性,片側性に分けてDVTとの関連を検討したので報告する。【対象と方法】当院にて2011年4月から2014年3月の3年間に静脈エコー検査を施行した連続1527例中,下腿浮腫を認めた596例(男性:219例,女性:377例,平均年齢72.5±12.2歳)を対象とした。浮腫とDVTの関係について,DVTを認めた両側性浮腫群(DB群),DVTを認めた片側性浮腫群(DU群),DVTを認めない両側性浮腫群(NB群),DVTを認めない片側性浮腫群(NU群)に分けて検討を行い,またDVT症例では血栓存在部位から膝窩静脈より中枢側の中枢型と下腿限局型に分けてDダイマーについても検討を行った。独立性の検定にはカイ二乗検定,二群間の差の検定にはt検定を用い,p<0.05を有意差有りとした。【結果】NB群318例,DB群85例,NU群129例,DU群64例となり両側性浮腫より片側性浮腫でDVTを多く認めた(P<0.001)DB群では中枢型24例,下腿限局型61例,DU群では中枢型31例,下腿限局型33例となり,DB群では下腿限局型DVTを多く認めた。(P<0.01)Dダイマー値は中枢型DVTで17.7±20.2,下腿限局型DVTで9.4±10.7と,中枢型で高値を示した。(P<0.01)【まとめ】両側性浮腫より片側性浮腫でDVT検出率が高く,両側性浮腫では下腿限局型DVTの割合が高かった。今回の検討ではDVT急性期と慢性期症例が混在していたが,急性期DVTの指標であるDダイマー高値は血栓量の多い中枢型を疑う所見と考えられた。