第55回日本脈管学会総会

講演情報

一般演題(口述)

下肢静脈瘤1

2014年10月31日(金) 10:52 〜 11:40 第3会場 (202会議室)

座長: 諸國眞太郎(諸國眞太郎クリニック), 小川智弘(福島第一病院 心臓血管病センター)

10:52 〜 11:40

[O-19-5] 血管内レーザー治療での漢方薬による皮下出血の予防

畑田充俊1, 有本潤司1, 岡村吉隆2 (1.国立病院機構 和歌山病院 外科, 2.和歌山県立医科大学 第一外科教室)

キーワード:endovenous laser treatment, ecchymosis

【背景】血管内レーザー治療(EVLT)は急速に症例が増加してきているが,皮下出血,疼痛,神経障害,EHITなどの合併症に注意する必要がある。合併症の中でも皮下出血,疼痛は特に多く,患者に不安を与えることがある為に予防することは重要である。最近,漢方薬の五れい散にアクアポリンレセプターを介して血腫,炎症を減少させる効果が報告されている。そこで,我々は,五れい散投与により980nmレーザー波長のEVLTでの皮下出血,疼痛が減少するかを検討した。【対象と方法】2013年12月より2013年6月までにEVLA60例(五れい散投与群39例:非投与群21例)を対象にした。五れい散は術直前より投与開始し,術後7日間7.5g/日で投与した。術翌日,術後7日,術後14日に下肢写真を3回ずつ撮影し,その写真から足肢に対する皮下出血の占有面積を算出した。3回の平均を皮下出血占有面積として使用した。疼痛評価では5段階数値評価スケールを使用し,術翌日,術後3日,術後7日,術後14日での疼痛を無記名アンケートで質問した。これを術後疼痛スケールとして使用した。【結果】全症例で静脈閉塞を得た。Class2以上のEHIT,神経障害は認めなかった。皮下出血占有面積では,術後7日と術後14日で投与群の方が有意に小さかった(投与群:非投与群,術翌日9.2±2.8%:11.4±3.3%,術後7日9.9±2.6:17.3±1.5,術後14日4.1±2.1:10.4±5.8,p<0.05)。術後疼痛スケール,術前因子(CEEP分類,抗血栓療法の有無),術中因子(LEED)は,投与群と非投与群間に有意差はなかった。【結論】五れい散はEVLTでの術後皮下出血を抑制する可能性が示された。