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[O-26-3] 下肢閉塞性動脈硬化症患者に対する血管内治療が上肢収縮期血圧に与える影響の検討
キーワード:EVT, hypertension
【背景】下肢閉塞性動脈硬化症は予後が悪い症例が存在し,高血圧をはじめとしてリスクの管理が重要である。しかし薬物療法に抵抗性を示すこともあり,さらなる治療法が期待される。【目的】血管内治療(EVT)による血行再建が四肢血圧に与える影響と予後への影響を検討した。【方法】対象は当院及び関連施設での血管内治療を施行した495例中,腸骨動脈領域,大腿膝窩領域の症例407例で,このうち慢性期まで追跡可能だった359例を対象にした。患者・病変背景および周術期術前後の安静時ABIを施行,血圧の変化を評価した。慢性期心血管死亡(プライマリーエンドポイント)とEVT前後の血圧値の関連を評価した。【結果】平均年齢71.1歳,男性79%,腸骨動脈領域38%,高血圧81%,脂質異常症65%,糖尿病56%を認めた。EVT前は上肢収縮期血圧(sBP)144.4±20.9mmHgであり,EVT前後の血圧差(ΔsBP)-6.5mmHgであった。ΔsBPはEVT前の上肢収縮期血圧と負の相関を示した(y = 60.633491 - 0.4652152 x,p<0.0001,r2=0.251428)。EVT成功した338例中,心血管死亡は34例であった。この群を術前血圧値から3群に分け,L群(129mmHg以下),M群(130-146mmHg),H群(146mmHg以上)として,カプランマイヤー解析を行ったところ,5年生存率はL群92%,M群88%だったが,H群46%と低値だった(p=0.0004)。比例ハザードモデルでは,H群はL群に対してrisk ratio 7.92(p<0.01)であった。【結論】下肢閉塞性動脈硬化症に対するEVTには血圧低下作用があり,予後に影響していることが示唆される。