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[O-26-5] Distal bypass後の足部血流と術前血管造影結果に関する検討
キーワード:CLI, SPP
【はじめに】重症虚血肢でdistal bypassを必要とする症例では,下腿以下での動脈の交通が乏しいにも関わらず末梢吻合可能な動脈が限定される場合が多い。こうした症例では吻合された動脈が本来灌流していない領域にある潰瘍に対する治療効果が危惧される。そのため,血管造影上の足部における動脈の連結状態と術前後の足部の皮膚灌流圧(SPP)の変化について後ろ向きに検討した。【方法】2010年1月から2014年5月までの間に当科で施行されたdistal bypassについて術前後の足部SPPの変化を評価した。SPP評価部位は,末梢吻合部が後脛骨動脈・足底動脈の症例では足背部,末梢吻合部が前脛骨動脈・足背動脈の症例では足底部で行った。SPPが術前40mmHg未満から術後に40mmHg以上となった場合,および術前より15mmHg以上上昇している場合をSPPが改善したと定義した。血管造影検査における足背動脈と足底動脈のつながりを,その程度から連結良好群,中間群,連結不良群に分類し,SPP変化と対比した。【結果】期間中の該当手術94名105肢のうち,該当部位のSPPが術前後で測定されていたのは44名48肢。連結良好群10肢では90%,中間群17肢では76%,連結不良群21肢では76%でSPPが改善した。術後に大切断に至った症例は3肢。連結不良群のうちSPPが改善した2肢と中間群のうちSPPが改善しなかった1肢でいずれも感染がコントロールできなかった症例であった。【考察・結語】術前血管造影において足部での動脈のつながりが悪い症例でも,約4分の3の症例で本来灌流しない領域におけるSPPの上昇が認められたことから,潰瘍が複数の領域に及ぶ場合でも最も治癒を期待する1領域への血流改善により救肢できる可能性が示唆された。