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[O-27-5] 透析患者の重症下肢虚血に対する治療成績
Keywords:critical limb ischemia, End-stage renal disease
【背景】近年,透析患者の重症下肢虚血が増加傾向にある。透析患者は併存疾患が多く,末梢性・多発性閉塞病変や石灰化等のため外科治療困難例も多いが,当科はバイパス手術を第一選択としてきた。【目的】透析患者の重症下肢虚血に対する治療成績を検討した。【対象・方法】2004年~2010年に東京大学血管外科に入院した重症下肢虚血184例213肢を対象とし,透析症例79例101肢を非透析症例105例112肢とretrospectiveに比較検討した。【結果】透析群では46例56肢,非透析群では73例78肢で血行再建された(55% vs 70%; P = 0.03)。両群とも血行再建された症例は血行再建されなかった症例より有意に救肢率は高かった(透析群P = 0.0029,非透析群<0.0001)。しかし,透析群ではグラフトが開存しながら48肢中4肢(8%)が感染増悪により大切断に至った。また,血行再建後の救肢率は,透析群で非透析群より有意に低かった(P = 0.0019)。血行再建後の生存率は,有意差は無かったが透析群で非透析群より低かった(P = 0.052)。透析群において死因は心血管疾患や敗血症等の感染が多かった。血行再建のうちdistal bypass施行症例は透析群40肢(71%),非透析群41肢(53%)であり,グラフト開存率に有意差は無かったが,救肢率は透析群で非透析群より有意に低かった(P = 0.03)【結語】透析患者の重症下肢虚血では救肢率は不良であるが,可能な場合はdistal bypassを含めた積極的な血行再建が救肢に有用である。治療成績向上には,特に感染コントロールが重要であると考えられる。