第55回日本脈管学会総会

講演情報

一般演題(口述)

PAD2

2014年10月31日(金) 13:00 〜 13:56 第4会場 (203会議室)

座長: 渋谷卓(関西医科大学附属 枚方病院 血管外科(末梢血管治療科)), 杉本貴樹(兵庫県立淡路医療センター 心臓血管外科)

13:00 〜 13:56

[O-27-5] 透析患者の重症下肢虚血に対する治療成績

山本諭1,2, 西山綾子1, 橋本拓弥1, 宮原拓也1, 保科克行1, 重松邦広1, 渡邉聡明1, 正木幸善2 (1.東京大学 血管外科, 2.青梅市立総合病院 外科)

キーワード:critical limb ischemia, End-stage renal disease

【背景】近年,透析患者の重症下肢虚血が増加傾向にある。透析患者は併存疾患が多く,末梢性・多発性閉塞病変や石灰化等のため外科治療困難例も多いが,当科はバイパス手術を第一選択としてきた。【目的】透析患者の重症下肢虚血に対する治療成績を検討した。【対象・方法】2004年~2010年に東京大学血管外科に入院した重症下肢虚血184例213肢を対象とし,透析症例79例101肢を非透析症例105例112肢とretrospectiveに比較検討した。【結果】透析群では46例56肢,非透析群では73例78肢で血行再建された(55% vs 70%; P = 0.03)。両群とも血行再建された症例は血行再建されなかった症例より有意に救肢率は高かった(透析群P = 0.0029,非透析群<0.0001)。しかし,透析群ではグラフトが開存しながら48肢中4肢(8%)が感染増悪により大切断に至った。また,血行再建後の救肢率は,透析群で非透析群より有意に低かった(P = 0.0019)。血行再建後の生存率は,有意差は無かったが透析群で非透析群より低かった(P = 0.052)。透析群において死因は心血管疾患や敗血症等の感染が多かった。血行再建のうちdistal bypass施行症例は透析群40肢(71%),非透析群41肢(53%)であり,グラフト開存率に有意差は無かったが,救肢率は透析群で非透析群より有意に低かった(P = 0.03)【結語】透析患者の重症下肢虚血では救肢率は不良であるが,可能な場合はdistal bypassを含めた積極的な血行再建が救肢に有用である。治療成績向上には,特に感染コントロールが重要であると考えられる。