第55回日本脈管学会総会

講演情報

一般演題(口述)

PAD3

2014年10月31日(金) 13:56 〜 14:52 第4会場 (203会議室)

座長: 山岡輝年(松山赤十字病院 血管外科), 森田一郎(川崎医科大学附属川崎病院 血管外科)

13:56 〜 14:52

[O-28-1] マゴット療法を施行した重症下肢虚血症例の検討

山本洋平, 猪狩公宏, 中村政宏, 葛井総太郎, 西澤真人, 小泉伸也, 豊福崇浩, 工藤敏文, 井上芳徳 (東京医科歯科大学 血管外科)

キーワード:maggot debridement therapy, critical limb ischemia

末梢動脈疾患に伴う潰瘍,壊疽は難治性の場合があり,下肢大切断を要する症例も少なくない。治療には血流の改善に加え,局所感染の制御,創部に対するdebridement等の適切な処置が必要となる。マゴット療法(maggot debridement therapy;MDT)は無菌ウジムシを用いて創傷に対しdebridementを行う治療法であり,また局所感染制御にも効果があるとされており,難治性潰瘍に効果があるとされている。今回われわれは,当科で施行したMDT症例について検討した。2005年6月から2014年5月までに,32例33肢に対してMDTを施行した。男性28例,女性4例であり年齢は47-91歳(平均:67歳)であった。併存疾患としては糖尿病:26肢,血液透析:19肢だった。MDTは1肢あたり1-9回(平均:3回)施行し,1回あたりのマゴット平均使用量は75匹であった。MDTの治療効果としては,有効:23肢(70%),無効:10肢(30%)であり,うち大切断を要した症例は5肢(15%)であった。MDT施行前に血行再建術を施行した症例は有効例で23例(100%),無効例で7例(70%),大切断例で3例(60%)であった。MDTは下肢の潰瘍,壊疽に対する局所治療として効果的であるが,適切な血行再建術を行った上で施行することが肝要であると考える。