第55回日本脈管学会総会

講演情報

一般演題(口述)

PAD3

2014年10月31日(金) 13:56 〜 14:52 第4会場 (203会議室)

座長: 山岡輝年(松山赤十字病院 血管外科), 森田一郎(川崎医科大学附属川崎病院 血管外科)

13:56 〜 14:52

[O-28-4] 下腿以下病変に対するEVT治療後のバイパス成績の検討―先行するEVTは,バイパス手術の障害となる

小久保拓, 大久保直子, 笹嶋唯博 (社会福祉法人 仁生社 江戸川病院 血管病センター)

キーワード:EVT first, distal bypass

【目的】重症虚血肢の血行再建において先行する血管内治療(EVT)はその後のバイパスに悪影響を及ぼさないと言う仮定が信じられてきた。今回,CLIに対する下腿以下のバイパス治療例において下腿以下の血管内治療(EVT)が先行して行われたバイパス群(Secondaryopen:Os)とEVTの既往がない群(Open-first:Of)の治療成績を比較し,この問題点を検証した。【対象】2012年7月から過去2年間の足関節位またはそれ以下へのバイパスは85例/96肢であった。内訳はOs群26例/31肢,Of群59例/65肢で,両群の治療成績に関与する術前因子および治療結果を単変量解析および多変量解析にて比較した。【結果】両群20か月までの一次開存率はOs群65%,Of群77%で,先行するEVTが治療成績に影響することが確認された(Kaplan-Meier法,P<.0001)。これに基づいて患者背景の影響因子をみるとOs群(vs.Of群)では重症広範壊疽(Rutherford6)が65%(vs.44%,P<.025)と有意に高率で,先行するEVTが壊疽を拡大させていることをうかがわせた。糖尿病88%(vs.76%,P<.02),維持透析88%(vs.51%,P<.001)で,維持透析に対するEVTが壊疽の重症化を招いている一方,年齢や心機能には有意差ないことから,EVTが症例の選択なしに実施されていることが示された。【結論】本研究から,先行するEVTによりバイパス開存性は障害され,虚血肢は重症化してバイパスに紹介されている実態が示された。