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[O-30-5] 冠動脈バイパス術後の大動脈弓部置換術の治療戦略
キーワード:TEVAR, Reoperation
CABG術後の再手術では,再開胸時のグラフト損傷,心筋保護法など様々な問題がある。近年では血管内治療の進歩によりこういった症例に対するTEVARの報告も散見されるようになった。今回過去10年に経験したCABG術後の大動脈弓部置換術(TAR)の3例について検討した。症例1はTEVAR導入前の症例だった。症例1は79歳男性。69歳時に他院でLITA-LAD,RA-OM-PL,SVG-3-4AVを受けた。76歳時には52mmの弓部瘤を指摘。胸痛精査の冠動脈造影でLITA狭窄,RA閉塞,vein graft diseaseを認め,弓部瘤も80mmと拡大しており緊急TAR+CABGを行った。正中切開+左開胸下にTARとLADの血行再建を施行,術翌日のCTで多発脳梗塞を認めた。症例2は80歳男性。76歳時にOPCAB+腹部大動脈人工血管置換の同時手術を受けた。当時より上行弓部大動脈の拡大があり,胸骨下面をgraftが横切らないようLITA-LADとRITA-RA-4PDでOPCABを行った。その後上行弓部瘤の拡大を認め,landingの問題からTEVAR適応外でTARを施行した。症例3は70歳男性。60歳時にLMT病変に対してRITA-LAD,LITA-OMを施行。胸部大動脈病変は認めなかった。67歳時に指摘された弓部瘤が拡大し手術となった。LADはRITAに依存しており,グラフト損傷を危惧してdebranch TEVARとした。右腋窩動脈-左腋窩動脈,左総頸動脈バイパスを行った後C-TAGを用いてTEVARを施行した。術後脳梗塞を併発したが,ほぼ症状なく退院された。CABG術前に胸部大動脈病変を合併している症例では,今後の治療も考慮しバイパスのデザインを検討する必要がある。ただ術後の経過の中で大動脈病変を合併する可能性があり,その際にはTEVARは有用なオプションであると考えられた。