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[O-30-7] 細径(7Fr)大動脈遮断バルーンカテーテル(intra-aortic balloon occlusion: IABO catheter)の開発と初期使用成績
キーワード:IABO, Hemorrhagic shock
【緒言・目的】IABOは外傷や腹部大動脈瘤(AAA)破裂による出血性ショックの初療や術中の一時的止血手段の一つである。国内ではIABO専用デバイスが発売されて以降,有効性報告が増加したが,同時に合併症報告も増え重篤な後遺障害の報告もある。その中で四肢末梢虚血性合併症は救命できてもその後のADLやQOLを損ない得るが,デバイスの細径化で回避可能な合併症の一つと思われる。今回,細径IABOシステムの臨床試用・開発評価を行う機会を得て,市販後も含め初期使用成績から有効性・安全性を検証した。【対象・方法】直近50カ月の外傷性かAAA破裂出血性ショック症例のうち,初期輸液蘇生に反応不良でIABO処置を行った連続27例を対象。10Frまたは7Frシステムを使用。総大腿動脈アプローチを基本とし,AAAで透視下挿入可能な場合は左上腕動脈アプローチ。10Frシステム使用群(10Fr群)と7Frシステム使用群(7Fr群)に分け,バイタル改善獲得率(sBP>80 and/or shock index<1.0で改善と評価)と救命効果(30日生存率),四肢虚血性合併症の有無を評価。【結果】外傷26例,AAA1例のうち7Frシステム5例,10Frシステム22例。AAAは左上腕アプローチ。バイタル改善効果は10Fr群vs.7Fr群;14/22(64%)vs4/5(80%)(p=0.50),救命率12/22(55%)vs3/5(60%)(p=0.83),虚血性合併症は1/22(5%)vs0/5(0%)(p=0.64)。【考察・結語】細径システムでもバイタル改善率,救命率は大径システムに遜色なく大動脈遮断効果は得られていると考えられ,かつ四肢虚血性合併症は回避されていた。7Frシステムは上腕動脈アプローチも可能で,外傷やAAA破裂に伴う出血性ショックに対するIABOデバイスとして有用かつより安全な可能性がある。