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[O-33-4] 心臓・血管外科領域における陰圧吸引療法の有用性
Keywords:wound healing, negative pressure therapy
【目的】創傷治癒には,充分な血流の存在,感染の制御,良好な栄養状態,が必須だが,さらに創傷治癒を促進する工夫も重要である。虚血性潰瘍,術創感染,また縦隔炎に対する治療は時に難渋し,在院期間を延長させる。今回,心臓・血管外科領域における創傷治癒に難渋した症例に対し,陰圧吸引療法(NPT)を施行した症例について検討した。【対象と方法】2012年1月~2014年3月までに経験した17例。男性10例,女性7例。平均年齢65.8歳。原因として縦隔炎6例,重症虚血6例,術創感染2例,グラフト感染,腹壁創し開,胸壁し開,それぞれ1例ずつであった。感染例では異物除去,掻爬後に,重症虚血肢例では1例を除き血行再建後に,NPTを行った。1例を除き企業製のNPTシステムを使用した。【結果】NPTの奏功率は12/17例(70.5%)であり,2例で遷延する感染のため切断に,3例は治癒が得られる前に死亡された。縦隔炎症例ではNPTに加え,筋皮弁施行例が1/6例だったが全例治癒を得られた。虚血肢では3/6例で治癒,術創感染例では2/2例で治癒をみた。感染グラフトに伴った創傷に対しては,一旦は治癒が得られたが再発したため最終的には感染グラフト抜去後に治癒が得られた。腹壁・胸壁創し開例では徐々に上皮化が得られていたが治癒前に失った。【まとめ】NPTは創傷部位を陰圧に保持し,細胞外液を排出し組織の浮腫を軽減,血管新生を促進させることで創傷治癒機転に作用する。心臓・血管外科領域における重症虚血による難治性潰瘍/術創,もしくは縦隔炎に対してはNPTが効果的であったが感染制御が課題であり,灌流可能なシステムの導入が待たれる。