4:26 PM - 5:22 PM
[O-6-3] EVAR後に腎機能低下をきたす因子についての検討
Keywords:EVAR, CKD
【はじめに】EVARは良好な治療成績と低侵襲性から多くの高齢者が治療対象になり,術前から慢性腎臓病(CKD)を有するケースが増えている。EVAR術後に腎機能を低下させる因子について検討した。【方法】過去33ヶ月間に当科で行ったEVAR 154例中,緊急例を除きかつメインデバイスを使用した135例を対象とした。術後7日目と1か月後でCKD stageを測定し,stageが進行した症例を腎機能低下症例とした。腎機能低下因子と考えられる項目を多変量解析した。【結果】平均年齢:77歳,男性:84%。術前CKD stageは,stage1:5,2:60,3a:35,3b:23,4:7,5:5例で,デバイス内訳は,Excluder:76,Endurant:49,Zenith:9,Powerlink:1例であった。全例で留置に成功した。平均手術時間:168分,出血量:212ml,造影剤使用量:161mlであった。30日死亡は0%で,周術期合併症は腎不全2例,脳梗塞1例であった。25例(19%)で腎機能の低下を認めた。特にshaggy aorta症例は17例中9例(53%)で腎機能が低下し,有意な増悪因子であった(p=0.042)。造影剤使用量はCKD増悪因子とならなかった(p=0.887)。また術後7日目のeGFRが高値であるほど1か月後のCKD stageは進行しなかった(P=0.013)。抗血小板薬やスタチンの未投与や喫煙歴,高血圧,糖尿病等はいずれも増悪因子ではなかった。【結語】Shaggy aortaの存在はEVAR術後の腎機能を低下させる。また術後7日目のeGFRが良好であればCKDの予後は良好であると考えられた。造影剤使用量はCKDの増悪因子とならないため,術前CKDの存在はEVARの適応から除外する必要はない。