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[P-12-4] 他施設での腹部大動脈瘤の人工血管置換術後に順行性hybrid TEVARを余儀なくされた1例
キーワード:antegrade hybrid TEVAR, angulated prosthesis
症例は77歳,女性。40歳時に高血圧症の指摘。67歳時,他院で腹部大動脈瘤に対してI型人工血管置換術を受けた。その後人工血管が著しく屈曲し,両側総腸骨起始部に石灰化狭窄を認めた。右内頸動脈高度狭窄を指摘されたが脳外科的にはCAS,CEAは不要とされた。手術は胸骨正中切開,上行大動脈をサイドクランプし約20mmの縦切開,さらにφ10mmのリング付きPTEFE人工血管にも約20mmの縦切開を加えて,側々連続吻合した。続いて右総頸動脈と右鎖骨下動脈分岐部を露出し,φ10mmPTEFEの上端を分岐直後の右鎖骨下動脈に端側吻合した。そのφ10mmPTEFEにφ8mmのPTEFEを端側に吻合し,左総頸動脈の中枢側を結紮離断し,左総頸動脈とφ8mmのPTEFEを端々吻合して,ステントグラフトdeploy時の脳血流を確保した。φ10mmのPTEFEの下端を閉鎖して,5Fr10cmシースイントロデューサーを穿刺挿入し,同部よりLunderquistガイドワイヤを下行大動脈に挿入留置し,24Frのドライシースに入れ替えて,デリバリーシステムの作成とした。同部よりGORE-TAGφ31mmx100mmを下行大動脈,GORE-TAGφ37mmx200mmを弓部大動脈,さらにGORE-TAGφ37mmx100mmを上行大動脈に展開し圧着固定した。次に左腋窩動脈にφ8mmのPTEFEを端側に吻合し胸腔内に導入して先の24Frのドライシースを抜去したφ10mmPTEFEと端側吻合した。術後経過は良好で対麻痺,脳虚血,脳塞栓症の発症もなく,順行性hybrid TEVAR術後12日目に造影CTを施行,手術の成功を確認,術後22日目に退院となった。文献的考察を含めて報告する。