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[P-14-2] 大動脈解離による虚血肢に異常血流波形を呈した1例
Keywords:US, aortic dissection
【症例】52歳,女性。9歳時に心雑音を指摘され,27歳時に僧帽弁逸脱,僧帽弁逆流と診断された。41歳時に僧帽弁逸脱・僧帽弁逆流合併妊娠のため当院周産期科に紹介され,バルサルバ洞拡大と不整脈も指摘された。出産後,大動脈瘤や解離は認めなかった。45歳時に左室拡大を認め,心筋生検で拡張型心筋症と診断された。今回,運動時の右下肢しびれと跛行から,閉塞性動脈硬化症(ASO)疑いで足関節上腕血圧比(ABI)と血管エコー検査を施行した。結果,右ABIの低下(右0.76/左1.04)を認め,さらに右下肢の脈波の立ち上がりは二峰性を呈した。血管エコー検査で右総大腿動脈のドプラ波形は収縮期に二峰性で,収縮早期はスパイク状を示す異常な波形であった。断層像の観察を行ったところ,腹部大動脈から右総腸骨動脈(CIA)にかけてflap様エコーがあり,偽腔開存型の解離を認めた。右CIAの真腔は狭く,右下肢虚血の原因と考えた。解離の範囲の精査目的で直ちに造影CT検査を施行した結果,左鎖骨下動脈分岐直後の胸部下行大動脈から右外腸骨動脈(EIA)起始部まで偽腔開存型の解離を認め,右CIAからEIAにかけて真腔の狭窄を認めた。再度,来院時の主訴以外の症状の有無を確認したところ,来院約1か月前に夜間の激しい背部痛を自覚した経緯があった。遺伝子検査でフィブリリン1遺伝子に変異を検出し,マルファン症候群と診断確定された。【結語】今回,偽腔開存型大動脈解離による下肢虚血において,いわゆる狭窄後波形とは異なる異常血流波形を呈した1例を経験した。