第55回日本脈管学会総会

講演情報

一般演題(ポスター)

大動脈解離2

2014年10月30日(木) 15:56 〜 16:26 第8会場 (2Fロビー)

座長: 岡田健次(神戸大学大学院医学研究科外科学講座 心臓血管外科学分野)

15:56 〜 16:26

[P-14-4] ステントグラフト時代における急性大動脈解離に伴う腎虚血に対するベアステントによる血管内治療

吉田路, 曽根孝仁, 坪井英之, 森島逸郎, 上杉道伯, 森田康弘, 井上陽介, 古田竜平, 友松敏郎, 寺田和始, 内藤千裕, 猪飼佳弘, 都築一仁, 柴田直紀 (大垣市民病院循環器内科)

キーワード:aortic dissection, renal stenosis

【背景】急性大動脈解離の約30%に臓器虚血を伴い,その中でも腎動脈の虚血は7%に起こるとされている。1990年代より臓器虚血を伴った大動脈解離に対する血管内治療が行われるようになったが,最近ではステントグラフトによるエントリー閉鎖が行われる事が多く,ベアステント単独での治療は多くない。【対象と結果】2013年の1年間に我々は腎虚血を伴う急性大動脈解離6症例に対しベアステント留置による治療を行った。年齢は47~86(平均73.3)歳で,男女比は1:2であった。6症例の内,5症例は動的閉塞で1症例は片側が動的閉塞で,反対側の腎動脈が静的閉塞であった。動的閉塞の内,2症例は偽腔拡大による真腔の圧排から生じた腎虚血であり,他はintimal flapによる分枝入口部の狭窄であった。Intimal flapによる腎動脈入口部の狭窄に対しては4例とも経カテーテル的開窓術に加え,狭窄した腎動脈へのステント留置を行った。偽腔拡大に伴う真腔の圧排を生じた2症例に関しては,高齢,認知症,腸骨動脈径が狭小であるためステントグラフトの適応とならずベアステントを大動脈に留置し,真腔の血流を改善させた。腎機能は全例で著明に改善し(平均Cr3.1→0.88mg/dl),術前に透析を必要とした3症例は全て透析離脱が可能であった。片側が静的閉塞であった1症例と,発症からステント留置までの時間が長かった1症例は慢性期に片側の腎萎縮を認めた。【結論】ステントグラフト時代に置いても臓器虚血を生じた急性大動脈解離に対しベアステントでの治療は良好な結果が得られ,重要な治療の選択肢の1つと考えられた。