第55回日本脈管学会総会

講演情報

一般演題(ポスター)

静脈3

2014年10月31日(金) 14:22 〜 14:58 第6会場 (第1練習室)

座長: 八巻隆(東京女子医科大学 形成外科学)

14:22 〜 14:58

[P-17-4] 強皮症を合併したうっ滞性皮膚潰瘍に対して静脈瘤手術を施行し良好な結果を得た1例

家村順三, 山本芳央, 神原篤志 (社会医療法人 畿内会 岡波総合病院 心臓血管外科)

キーワード:progressive systemic sclerosis, stasis skin ulcer

【症例】症例は63歳,女性。うっ滞性皮膚潰瘍を伴う静脈瘤で紹介された。約15時間近くの食堂での勤務をこなしていた。また,強皮症を合併し,近医でプレドニン2mg/dayでコントロールされていた。【理学所見】両下肢に多数の表在静脈瘤が存在し,左下腿には末梢側1/2に及ぶ広範な発赤腫脹とその中心に3か所の皮膚潰瘍が形成されていた。【検査所見】下肢エコー検査では両側のFSJでの病的逆流とGSVの瘤化及び,左下腿に不全穿通枝が認められた。採血検査では炎症反応はない(CRP0.06)もののANA-SP1280,抗核抗体陽性(+),抗CPNP-B抗体>240と強く強皮症が示唆された。【手術】2014/2 潰瘍のある左下肢に対し,GSVストリッピング+不全穿通枝切離術を施行した。当初SEPSを予定していたが,穿通枝は発赤腫脹の辺縁に存在していたので直接剥離の上,結紮切離した。潰瘍底も術中エコーで検索したが,穿通枝は描出されなかった。【術後経過】術後はフットケアチームが介入し,塗布薬選定や圧迫療法を行った。患者は元の約15時間労働に戻っていたが,潰瘍は急速に修復され約6週間でほぼ治癒に至った。強皮症に関しては悪化を見ず,検査データも亢進しなかった(ANA-SP 1280,抗核抗体陽性(+),抗CPNP-B抗体>240,CRP0.21)。【まとめ】潰瘍形成がうっ滞によるものか強皮症由来か不明であったが,静脈瘤手術で治癒を見た。強皮症に関しては手術侵襲で,特に悪化を示さなかった。強皮症合併というリスクはあったが,積極的な手術介入でうっ滞性皮膚潰瘍を治癒せしめたので情報を共有する意義があると思われ報告する。