第55回日本脈管学会総会

Presentation information

一般演題(ポスター)

静脈3

Fri. Oct 31, 2014 2:22 PM - 2:58 PM 第6会場 (第1練習室)

座長: 八巻隆(東京女子医科大学 形成外科学)

2:22 PM - 2:58 PM

[P-17-5] 心停止を来す肺血栓塞栓症の原因となった両側popliteal vein aneurysmの一手術治験例

奥田紘子1, 清水幸宏1, 藤井弘史1, 岸本憲明1, 小谷真介1, 生田剛士1, 池側恭洋2, 日野裕志2 (1.石切生喜病院 心臓血管外科, 2.大阪府立中河内救命救急センター)

Keywords:popliteal vein aneurysm, deep vein thrombosis

症例は54歳,女性。平成26年3月中旬,朝に突然呼吸苦と意識障害を認め前医に救急搬送され,搬送中に心停止となるも心肺蘇生により病着3分後に心拍再開を得た。以後も循環動態が著しく不安定であった為PCPS装着となり,造影CTにて急性肺血栓塞栓症と診断されカテーテルによる肺動脈内血栓吸引術が施行された。肺動脈の再灌流により循環動態は改善し翌日にPCPSから離脱できた。CTにて肺塞栓症の原因として血栓を有する両側popliteal vein aneurysmを認めた為,追加治療目的で3月下旬に当院に転院となった。転院後に認めた呼吸苦と左腰部・大腿部痛の悪化,貧血進行に対し造影CTを行い,肺炎及び左腸骨筋血腫,左大腿仮性動脈瘤の併発を認めた。保存的治療にて肺炎は軽快し腸骨筋血腫の進行は認めなかったが,IVCフィルター留置後に安静度を解除した際,高度の左大腿神経麻痺が判明した。増大傾向の左大腿仮性動脈瘤の手術を行った後に一般病棟に移動しリハビリを開始した。抗凝固薬の中断にてエコー上,左下肢深部静脈血栓症を認めたため抗凝固療法を再開し,大腿神経麻痺が軽快した同年6月初旬に瘤内残存血栓を認める左popliteal vein aneurysmに対し後方アプローチで血栓の付着する瘤壁切除と血管縫縮術を施行した。術後2週目の造影CTでは良好な膝窩静脈の開存を認めた。心停止を来した肺血栓塞栓症に対しカテーテル治療にて救命でき,症候性のpopliteal vein aneurysmに対し手術治療にて良好な結果を得た症例を経験した。popliteal vein aneurysmは稀な疾患であり文献的考察を加えて報告する。