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[P-25-3] 急性冠症候群と頸動脈硬化に関する研究
キーワード:acute coronary syndrome, carotid arteriosclerosis
急性冠症候群は全身的動脈硬化がなくても生じることがあると報告されている。そこで,このような病態や臨床像について検討した。【対象と方法】対象は急性心筋梗塞(AMI)や不安定狭心症(UAP)で頸動脈超音波検査を受けた患者である。頸動脈硬化度は超音波検査で算出したプラークスコア(PS)で評価した。冠動脈危険因子として,高血圧症,糖尿病,脂質代謝異常症そして喫煙歴を評価した。【結果】頸動脈硬化の無いAMIの18例では(平均年齢57.58歳),1例(5.6%)が3枝病,3例(16.7%)が2枝病変,後は1枝病変であった。また,平均病変数(MNDV)は1.33±0.62(平均±標準偏差)であった。平均リスク因子数(MNRF)は2.17±0.98で,16例(88.9%)に喫煙歴がみられた。頸動脈硬化の無いUAP10例では,1例(10%)が2枝病,7例(70%)が1枝病変であった。MNDVは0.82±0.6であった。MNRFは1.9±0.74で,4例(40%)に喫煙歴がみられた。中等度頸動脈硬化(5<PS<10)のAMI37例では,15例(40.5%)が3枝病,12例(32.4%)が2枝病変であった。また,MNDVは2.0±0.81であった。MNRFは2.22±1.01で,28例(75.7%)に喫煙歴がみられた。高度頸動脈硬化(10<PS)の17例では,8例(47.1%)が3枝病,4例(23.5%)が2枝病変であった。また,MNDVは2.18±0.88であった。MNRFは2.3±1.01で,13例(76.5%)に喫煙歴がみられた。【結語】急性冠症候群は頸動脈硬化がほとんどなくても生じることがあり,喫煙はAMIの強力な危険因子といえよう。頸動脈硬化が無い症例では平均病変数は中等度から高度頸動脈硬化群より少なかったが,危険因子数はほぼ同様であった。