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[P-3-4] 分節脈波検査(PVR検査)により狭窄部位の推定が有用であった症例
キーワード:pulse volume recording, peripheral arterial disease
末梢動脈疾患(PAD)においてABIでは狭窄部位の予測までは困難である。分節脈波検査(PVR検査)(フクダ電子)では左右上肢,大腿,膝下,足首,足趾部分の計10ヶ所にカフを巻き,各々の脈波形を計測し,振幅(A),Upstroke Time(UT),% Mean Arterial Pressure(%MAP)を用い狭窄部位の推定を行うことができる。今回,PVR検査によって病変の特定に繋がり,治療に有用であった症例を経験したので報告する。【症例】75歳男性,RatherfordΙ-2の左間欠性跛行を認め,ABIは右0.92,左0.68であった。PVR波形は右下肢に比べて,左大腿から末梢までのAmplitudeの低下が見られ,UT 272ms,%MAP 48%と高値を示した。左大腿より中枢側の狭窄が疑われたため下肢動脈エコーを施行し左総腸骨動脈に75%狭窄が認められた。末梢血管治療(EVT)を施行し同部にExpress 8.0/27mmを留置し良好な拡張を得た。翌日のABIは左0.99,PVR波形はAmpulitudeの増高,UT 226ms,%MAP 37%と治療前より改善を認め,左右差はほぼ見られなかった。下肢動脈エコーでも血流は良好であった。当院では,腸骨から末梢までの血管を下肢動脈エコー見ている。PVR波形により狭窄部位の予測ができることにより,エコーでのスクリーニングの時間短縮,肥満,腸管ガスなどにより評価困難な場合が多い腸骨動脈領域の検査精度の向上が期待される。PVR検査はスクリーニング,EVT治療前後の比較や経過観察に有用であると考えられた。