第55回日本脈管学会総会

講演情報

一般演題(ポスター)

動脈硬化1

2014年10月30日(木) 16:32 〜 17:08 第6会場 (第1練習室)

座長: 冨山博史(東京医科大学 第二内科)

16:32 〜 17:08

[P-3-6] オシロメトリック式自動血圧計を用いた非侵襲血管内皮機能評価法

平野陽豊1, 松本遼1, 平野博大1, 栗田雄一1, 辻敏夫1, 鵜川貞二2, 中村隆治3, 佐伯昇3, 河本昌志3, 東幸仁4, 吉栖正生5 (1.広島大学 大学院工学研究院, 2.日本光電工業, 3.広島大学 麻酔蘇生学, 4.広島大学 ゲノム障害病理, 5.広島大学 心臓血管生理医学)

キーワード:vascular endothelial function, arterial stiffness variation

【目的】血管内皮機能を非侵襲的に評価する方法として,超音波装置を用いて駆血解放後の血流依存性血管拡張(Flow-mediated Dilation: FMD)を測定するFMD検査がよく知られているが,検査者の熟練を要することが課題となっている。一方,著者らはオシロメトリック法の血圧測定原理に基づき,カフに生じる圧脈波振幅からFMDを簡便に推定する方法(enclosed zone FMD: ezFMD)を提案したが,血管内皮機能に伴う血管剛性変化を計測することは不可能であった。本報告では,オシロメトリック式自動血圧計のカフ印加圧と複数のカフ容積脈波から血管剛性変化を評価する方法を提案する。【方法】広島大学・医の倫理委員会承認のもと,事前にインフォームド・コンセントが得られた健常群10名(年齢±S.D.:21.2±1.4歳),および糖尿病,脂質異常症,高血圧のうち一つ以上を有する動脈硬化ハイリスク群10名(64.4±12.9歳)を対象とした。まず,自動血圧計から計測されるカフ印加圧の変化とカフ容積脈波振幅の変化を用いて血管の硬さを表す指標であるβを計算するアルゴリズムを考案した。次に,ezFMD検査における駆血前後の血管剛性変化%βを計測した。%βについて被験者群間比較をWelchの両側t検定を用いて有意水準5%で評価するとともに,ROC解析を行った。【結果】健常群の平均と動脈硬化ハイリスク群の平均%βはそれぞれ-32.9±21.7%,-6.1±19.8%で,健常群の%βは動脈硬化ハイリスク群より有意に低下した(p<0.01),また,ROC解析から得られたAUC値は0.81であった。【結論】提案指標%βを用いることで,血管内皮機能による血管剛性変化を評価できる可能性が示唆された。