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[P-7-2] 上肢動脈バイパス術を施行した3症例
Keywords:bypass, saphenous vein graft
上肢動脈閉塞に対し大伏在静脈を用いたバイパス術を3例に施行したので報告する。【症例1】75歳・男性,心筋症,徐脈性心房細動あり,残胃潰瘍精査のためワーファリンを休薬後右上肢の痺れやチアノーゼが出現し紹介。血管造影で右上腕動脈閉塞を認め自家大伏在静脈(SVG)による上腕-橈骨動脈バイパス術を施行。症状も消失し術後の確認血管造影で良好な開存を認めた。【症例2】84歳・男性,既往に腎癌による左腎および脾摘出術。左上肢の疼痛を認め手根幹症候群の診断をうけ治療するも症状改善がなく発症後3週間以上経過してから紹介。造影CTで左上腕動脈から尺骨,橈骨動脈にかけて閉塞あり。CTで末梢側の動脈が造影されず保存的治療を選択したが,症状がさらに増悪,側副血行の発達を期待しSVGによる腋窩-尺骨動脈バイパス術を施行。橈骨動脈は一時開通したが閉塞,造影CTでグラフトは開存も末梢の血流描出は不良。しかし疼痛などの症状が軽快したため経過観察していたが術後3年目に腎癌による転移性脳腫瘍のため死亡。【症例3】57歳・男性,25歳時大動脈縮窄症のため右鎖骨下-両大腿動脈バイパス術を施行。右上・下肢の痛みが出現し近医にて加療されたが症状の改善がなく紹介。造影CTでバイパスグラフトは閉塞,右上腕動脈および右膝窩動脈閉塞を認めた。右膝窩動脈は再開通したためSVGを用いて右腋窩-橈骨動脈バイパス術を施行。術後造影CTでグラフトは開存し右上肢の血流増加あり。3症例とも血栓閉塞が原因と考えられた。慢性期で吻合する動脈があればSVGを用いたバイパス術は有用である。症例3は鎖骨下動脈と人工血管吻合部の血栓遊離が原因で今後の追加治療が必要と考えられた。