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[P-7-4] 血管エコー検査が固有指動脈閉塞症の診断と経過観察に有用であった1例
Keywords:US, digital arteries
【症例】90歳,女性【主訴】右第4,5指の蒼白と疼痛・冷感【既往歴】89歳時,左乳癌と診断され内服加療中【現病歴】右第3~5指に突然冷感を認め救急来院,第3指はまだらに暗紫化,第4,5指は蒼白・疼痛・知覚異常を認め,精査・加療のため当院入院となった。【入院時検査所見】胸部X線:心胸郭比67%,心電図:洞調律【血管エコー検査所見】両側鎖骨下動脈から橈骨・尺骨動脈にかけて血栓の原因となるような瘤形成や潰瘍性狭窄病変は認めなかった。しかし右第4,5指の第2関節より末梢の固有指動脈に血流シグナルが認められず,第4,5固有指動脈の閉塞が疑われた。【他の検査所見】経胸壁心エコー検査にて重症大動脈弁狭窄を認めたが心内血栓は認めなかった。塞栓源検索のための経食道心エコー検査および上肢動脈血管造影は認知症,腎不全を考慮し施行しなかった。【その後の経過】薬物療法により感覚障害,色調不良は軽度改善を認めた。1週間後,第5指の感覚障害は改善,色調はほぼ正常化し,エコー検査では末梢まで血流シグナルも認めた。一方,第4指は依然色調不良,軽度冷感・疼痛があり,血流シグナルは認めなかった。2週間後に第4指に皮下出血・疼痛を認めたため再度エコー検査を施行したが,第4固有指動脈は血流シグナルを末梢側まで確認できた。【考察】超音波診断装置の性能の向上に伴い末梢の小動脈においても形態や血流評価が可能となってきた。本症例では認知症,腎不全があり血管造影を含めた侵襲的検査が困難であったが,非侵襲的な血管エコー検査にて指の動脈を描出することで診断および経過観察が可能であった。