第55回日本脈管学会総会

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一般演題(ポスター)

急性動脈閉塞

Thu. Oct 30, 2014 4:32 PM - 5:08 PM 第6会場 (第1練習室)

座長: 林田直樹(千葉県循環器病センター 心臓血管外科)

4:32 PM - 5:08 PM

[P-7-5] 下肢動脈閉塞により発見された大腸がんの1例

志水正史, 鈴木昭一郎 (所沢明生病院)

Keywords:acute embolism, malignacy

Trousseau症候群に代表されるように悪性腫瘍に伴う血液凝固系の亢進により血栓症を起こすことはよく知られているが,その多くは,悪性腫瘍の経過中に発症する血栓症が大半である。今回,末梢動脈血栓症の症例に対して原因検索中に大腸癌を認めた症例を経験したので報告する。【症例】50歳男性。2~3か月前に両下肢の疼痛・痺れを認めていたが放置していた。しかし,左下肢の痛みが強くなり近医を受診,血行障害を疑われ当院へ紹介受診となった。CTアンギオにて左膝窩動脈閉塞を認め入院加療となった。CTアンギオでは血管の石灰化が少なく,心房細動もなかった。血液生化学検査,免疫検査でも異常なく,以上から悪性腫瘍に伴う血栓症を疑った。GIF,CFを行ったところ上行結腸,下行結腸にそれぞれ癌を認めた。最初,大腸癌に対して腹腔鏡下に右半結腸切除,下行結腸切除術を施行した。経過中に肝臓転移を認めたためこれに対して肝部分切除を行った。その後,下肢動脈閉塞に対して経皮的血管拡張術を施行した。術後経過良好である。【考察】一般には,動脈閉塞に対して癌の存在を疑うことはあまりないが,今回のような症例もあり原因がはっきりしない場合,動脈閉塞症例には癌の存在を注意しておくことが必要と思われた。