第55回日本脈管学会総会

Presentation information

一般演題(ポスター)

EVAR1

Thu. Oct 30, 2014 3:20 PM - 4:02 PM 第7会場 (第2練習室)

座長: 佐伯宗弘(鳥取大学医学部附属病院 心臓血管外科)

3:20 PM - 4:02 PM

[P-8-5] 腹部大動脈ステントグラフト内挿術後の脚閉塞の2例

伊從敬二, 三森義崇, 橋本良一 (山梨厚生病院 心臓血管外科)

Keywords:endovascular aortic repair, limb occlusion

【はじめに】腹部大動脈ステントグラフト内挿術(EVAR)後の脚閉塞は時に経験するが,その予防や処置に対する一定した見解がない。今回,比較的原因がはっきりした脚閉塞2例を経験した。【症例1】82歳,男性。CTで41mmの腹部大動脈瘤と右48mm,左38mmの総腸骨動脈瘤を認めた。外腸骨動脈は蛇行し,右はヘアピンカーブと1回転半のループを描き,左もヘアピンカーブを描いていた。まず,左内腸骨動脈のコイル塞栓術を,4日後に右内腸骨動脈のコイル塞栓術を行い,さらに11日後にステントグラフト内挿術(ENDURANT)を行った。全てのデバイスのデリバリーにはpull-through法を要した。左からメインボディーと脚1本,右から脚2本を挿入したが,いずれのシステムも回収が困難となり,やや暴力的に抜去した。手術終了時の造影で右外腸骨動脈に解離を思わせる所見を認めたが経過観察とした。術後6週間後にグラフト右脚が閉塞し,3週間後に浅大腿動脈間バイパスを行った。【症例2】71歳,男性。CTで45mmの腹部大動脈瘤を認めた。大動脈末端部に15×18mmの狭小部を認めた。ステントグラフト内挿術(ENDURANT)を行い,手術終了時の造影で脚の血流に問題を認めなかった。9日目に左脚が閉塞して来院した。CTで対側脚である左脚は大動脈末端の狭小部で,前方の右脚に強く圧排され閉塞していた。緊急で右外腸骨-左総大腿動脈バイパスを行った。【考察】脚閉塞の原因として,症例1は外腸骨動脈の解離,症例2は大動脈末端の狭小部での圧迫が考えられた。脚閉塞はデバイスの追加で阻止できた可能性があり,今後のEVAR症例で生かしたい。