第55回日本脈管学会総会

講演情報

一般演題(ポスター)

EVAR2

2014年10月30日(木) 16:02 〜 16:38 第7会場 (第2練習室)

座長: 近藤俊一(いわき市立総合磐城共立病院 心臓血管外科)

16:02 〜 16:38

[P-9-3] 多発性限局型解離を伴う腹部大動脈瘤に対しC3 ExcluderによるEVARが奏功した一例

北川敦士1, 佐藤卓也2, 長尾俊彦1 (1.赤穂中央病院 心臓血管外科, 2.赤穂中央病院 放射線科)

キーワード:focal dissection, abdominal aortic aneurysm

【目的】多発性限局型解離を伴う腹部大動脈瘤(AAA)に対し,C3 ExcluderグラフトによるEVAR(Endovascular aortic repair)が奏功した一例を経験したので報告する。【症例】73歳男性。狭心症,大動脈弁閉鎖不全症に対し大動脈弁置換術,冠動脈バイパス術,弓部大動脈瘤に対しdebranching thoracic EVARの既往あり。AAAは径46mm x 44mmに拡大,腎動脈上下腹部大動脈,瘤壁,両側総腸骨動脈に多発性限局型解離を認めた。AAAに対するopen repairはハイリスクと考え,EVARを計画した。デバイスはGore C3 Excluder腹部大動脈ステントグラフトを選択,術中動脈壁損傷に注意すべく,ガイドワイヤー操作をKMP 100cm長カテーテルでカバーしながら0.035 inchラジフォーカスガイドワイヤーを下行大動脈へ誘導,Amplatz super stiffワイヤーに交換した。C3 Excluderステントグラフト留置後,中枢ネックに対してAortic extenderを使用,慎重に大動脈バルーンにて後拡張を施行,タイプI,IIIエンドリークなく手術を終了した。術後問題なく経過,術後半年後の瘤径は46mm x 41mmに縮小し,瘤の拡張を認めていない。【結語】多発性限局型解離を伴うAAAは,動脈壁の脆弱性からEVARは適応困難ではあるが,C3 Excluderを用い慎重にEVARを行うことで,本疾患を治療することは可能である。