第55回日本脈管学会総会

講演情報

パネルディスカッション

膝下病変に対する治療 (EVT VS Bypass)

2014年10月31日(金) 13:50 〜 15:40 第2会場 (アイシアター)

座長: 宮田哲郎(山王病院・山王メディカルセンター 血管病センター), 駒井宏好(関西医科大学附属滝井病院 外科学講座・末梢血管外科)

13:50 〜 15:40

[PD-2-1] 当院における膝下動脈病変に対する治療戦略―EVT and Bypass―

相良大輔, 小谷野憲一, 鈴木実 (浜松赤十字病院)

キーワード:Critical limb ischemia, Revascularization

近年、閉塞性動脈硬化症、糖尿病性透析患者の増加に伴い足部慢性創傷患者が急増してきており、中でも膝下動脈病変は治療に難渋することが多い。今回、長期間の救肢を実践するために必要な治療戦略を明らかにすることを目的に、当院における膝下動脈病変に対する治療をretrospectiveに検討した。2009年4月から2014年3月までの5年間に重症虚血肢(Critical limb ischemia;CLI)220例292肢(TAO、血管炎、リウマチ性疾患を除く慢性創傷患者)に対して、血管内治療(Endovascular treatment; EVT)を178例243肢に、バイパス手術を60例83肢に行った。その中で、膝下動脈病変に対するEVTは136例180肢(男性91名、女性45名)、平均年齢72.9歳(39〜95歳)、糖尿病患者103例(75.7%)、透析患者90例(66.2%)であり、この内バイパス手術に移行したものは24例29肢(F−Tバイパス11肢、P−Tバイパス18肢)であった。EVTの一次治癒率は50.0%(平均治癒期間3.7カ月)、二次治癒率は61.9%、再発率は19.2%であり、Amputation free survival (AFS)rateは12カ月65.6%、24カ月50.6%であった。Tibial bypass12カ月でのバイパス一次開存率17.7%、二次開存率46.0%であり、AFS rateは60.9%であった。【結語】足部慢性創傷のある下腿病変に対してはまずEVTを施行するが、治癒率は50〜60%であり再発率も高い。EVTで十分な血流が得られず治癒が遷延する場合にはTibial bypassに移行することが肝要である。但しAFSは両群とも良好とは言えず、bypass手術に際しては生命予後や社会的背景も踏まえた決断が必要となる。